仕事への影響
経営者がClaude Code・Codexを直接操作、資料作成の外注を社内に戻す動き
自動化したい業務は増えるのに、外注先への依頼と見積もり待ちばかりが積み上がっていませんか。経営者自身がAIエージェントを操作し、外部発注していた業務を社内に取り戻す動きが出てきました。
何が起きたか
株式会社Saixは2026年9月24日、経営者・役員層を対象に、Claude Code(Anthropic社)とCodex(OpenAI社)を使った業務自動化の内製化支援コンサルティングの提供を開始しました。外部への発注に頼り続けるのではなく、経営層自身がAIエージェントに業務を任せられる状態をつくることを目的としています。対象は営業・マーケティング・バックオフィスの3領域で、自動化する業務の選定から試作、検証、社内での運用までを伴走する内容です。
サービスの立ち上げに合わせ、先着5社限定でオンライン30分の無料相談を実施します。相手は代表取締役の杉田海地氏で、現在の業務を聞き取ったうえで自動化できる業務の候補と着手する順番をその場で伝える形式です。相談自体は無料で、相談後に契約する義務はありません。
料金は月額20万円〜(税別)が基本で、別途初期費用と最低契約期間が設けられています。6ヶ月で内製化を終えて卒業するパッケージは総額390万円〜(税別・初期費用込み)です。月額コンサルティングは従業員30〜300名規模の企業を主な対象とし、30名未満の企業には1日20万円(税別)の単発支援を案内しています。
背景・解説
Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社が提供するAIエージェントで、日本語の指示を出すだけでプログラムの作成や業務手順の自動化を組み立てられる点が特徴です。専門知識がなくても、調査や集計、資料作成、書類作成、進捗管理といった仕事のうち、手順化できる部分をAIに任せられる場面が増えてきました。
これまで多くの企業は、自動化を1本作るたびに外部の開発会社へ依頼してきました。頼みたいものが増えるほど費用と待ち時間が積み重なり、情報システム部門を持たない中小企業では社内に担当者を置くことも簡単ではありませんでした。Saixは、この状況を変える手段として、経営層自身が手順の決め方と渡し方を身につけ、社内で自動化を回せる状態を先につくる支援を掲げています。
Saix自身も自社の業務をClaude CodeとCodexで内製してきたとしており、2026年9月20日時点で業務アプリ14本、定期実行の自動化処理52本、作業手順107本、判断の型229件、自社メディア記事131本を社内で運用していると公表しています。ただしこれらは同社の社内集計であり、導入企業の成果を示す数値ではないと明記されています。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
経営者がAIエージェントを自分で操作できるようになると、業務設計そのものを自社の判断で組み替えられるようになります。まず変わるのは、外注先とのやり取りにかかっていた時間です。仕様を伝えて見積もりを待ち、修正依頼を出して再納品を待つという往復が、経営者自身が作る手順書とAIへの指示に置き換わります。
具体例で考えてみます。従業員80人の住宅販売会社で、経理担当が2人しかおらず、請求書と見積書の作成、経費の突合を毎月外部の事務代行に依頼しているとします。この会社が内製化支援を受け、請求書作成の手順をAIエージェントに渡せる形に整理できれば、外部への発注件数を月あたり数十件単位で減らせる余地が生まれます。担当者がやるべき作業は、AIが作った下書きの確認と承認だけになります。
営業部門にとっての変化はさらに直接的です。商談前の企業調査、提案資料と見積書の作成、商談記録から議事録と次アクションへの展開までをAIエージェントに任せられれば、営業担当は準備作業から解放され、商談そのものに時間を充てられるようになります。例えば、営業担当が5人の建材卸売会社なら、1商談あたりの準備時間を1時間短縮できれば、月あたり数十時間分の商談時間を新たに確保できる計算です。
一方で、内製化の効果は対象業務をどこまで手順化できるかに左右されます。判断が複雑で毎回条件が変わる業務は、AIエージェントに渡す前に業務そのものを整理する作業が欠かせません。経営者がその整理に時間を割けるかどうかが、内製化の成否を分けます。定型化しやすいバックオフィス業務から着手し、判断が絡む営業やマーケティングは後回しにする進め方が現実的です。
小規模な会社ほど、経営者自身が旗振り役になる意味は大きくなります。従業員20人未満の会社では専任の情シス担当を置く余裕がないことが多く、経営者が自らAIエージェントの使い方を身につけることが、外部依存を減らす最短の道になります。
不確かな点・注意
記事中で挙げられている会計事務所や税理士事務所での作業時間短縮の声は、今回開始した内製化支援サービスの成果ではなく、Saixが従来提供してきたAI研修・コンサルティングの利用者から得たものです。効果には個人差があると明記されています。
内製化にかかる期間と費用は、対象業務の範囲、社内の体制、必要な実装範囲によって変わるとされており、具体的な着地点は公表されていません。Saix社内の運用実績(業務アプリ14本など)もあくまで自社集計であり、支援を受けた企業がどの程度の業務アプリや自動化処理を実現できるかを示すものではありません。
また、本サービスはAnthropic社およびOpenAI社との公式パートナーシップに基づくものではないと明記されています。無料相談は先着5社限定で、定員に達し次第受付を終了する点にも注意が必要です。