業務改善

初めてシステム会社に相談するとき、何を用意すればいいか|必要なのは「困りごと」だけ

「何から話せばいいか分からない」「ITの言葉が分からない」。システム会社への相談をためらう理由の定番ですが、初めての相談で用意するのは、いま困っていることだけで十分です。用意すると話が早くなる3つのもの、相談でだいたい聞かれること、こちらから必ず聞いておくべき4つのことを整理します。

Excelと紙とLINEで、なんとか回してきた。でも、そろそろ限界かもしれない。システムで楽になるなら考えたい。そう思っても、いざシステム会社に相談するとなると、手が止まる社長は少なくありません。何から話せばいいのか分からない。ITの言葉が分からなくて、話についていけないかもしれない。素人だと思われて、高い金額を言われるかもしれない。そもそも、相談する前に何か資料を用意しないといけないのではないか。

先に結論を書きます。初めての相談で用意するのは、「いま困っていること」だけで十分です。ITの言葉を覚える必要もありません。この記事では、相談の前に知っておくと安心なこと、用意すると話が早くなる3つのもの、相談でだいたい聞かれること、そしてこちらから必ず聞いておくべきことを整理します。

相談の前に、ITの言葉を覚える必要はない

まず知っておいてほしいのは、業務の話をシステムの言葉に置き換えるのは、作る側の仕事だということです。相談する側は、普段の仕事の言葉のままで話して構いません。むしろ、慣れないITの言葉を使うより、自分の言葉で困りごとを話したほうが、相手には正確に伝わります。

業務の言葉で話せば、それがいちばん正確に伝わる
こう言わなくていいこう言えば十分伝わる
顧客管理と案件管理を連携させたいお客さんの情報と現場の情報が別々のExcelに入っていて、探すのが大変
請求書の自動発行機能がほしい月末の請求書作りに、事務の人が丸2日かかっている
権限を設定したい給料の情報は、社長と経理だけが見られるようにしたい
スマホ対応にしたい現場の職人が、事務所に戻らずに日報を出せるようにしたい

左の言い方は、一見しっかりしているように聞こえますが、実は情報が少ないのです。「連携」と言っても、何と何を、なぜつなぎたいのかは伝わりません。右の言い方には、誰が、何に、どれだけ困っているのかが入っています。作る側が本当に知りたいのは、こちらの情報です。もし相談した相手がITの言葉ばかりを使い、こちらの話を業務の言葉で聞き返してくれないなら、その相手とは導入した後も話が噛み合わない可能性が高いと考えてください。

用意すると話が早くなるのは、3つだけ。どれも今あるもの

相談のために、新しく資料を作る必要はありません。次の3つがあれば、話は一気に具体的になります。どれも、いま会社にあるものです。

  • いま使っている紙、Excel、LINEの画面。写真やスクリーンショットで構いません。書き込みだらけでも、形がバラバラでも大丈夫です。実物は、どんな説明よりも多くのことを伝えてくれます。
  • 仕事の流れ。注文を受けてから、作業をして、請求して入金されるまで、誰が何をしているか。手書きの走り書きで構いません。頭の中にあるなら、相談の場で話すだけでも十分です。
  • いちばん困っている場面を1つ。「月末の締め」「新しい人が入ったとき」「社長が現場に出ていて事務所にいないとき」など。全部を挙げなくていいので、真っ先に浮かぶものを1つ決めておくと、相談の軸がぶれません。

反対に、用意しなくていいものもあります。機能の一覧、システムの仕様書、細かい予算の確定。これらは、相談しながら一緒に決めていくものです。予算については、「毎月これくらいまでなら出せる」という感覚が1つあれば十分です。それがあると、相手もその範囲で現実的な作り方を考えられます。

相談で、だいたい聞かれること

初めての相談で聞かれることは、どの会社でもだいたい同じです。先に知っておくと、当日に慌てずに済みます。

初めての相談で、だいたい聞かれること
聞かれること聞かれる理由答え方の例
社員の人数と、使う人の数画面の数や、料金の目安を決めるため社員15人。事務所が4人、現場が11人
いまの管理のしかたどこから仕組みにするか、今のデータを移せるかを見るため見積はExcel、日報は紙、連絡はLINE
いちばん困っていること最初に解決すべきことを決めるため月末の請求書作りに2日かかる
どこで、何で使うかスマホ中心か、パソコン中心かを決めるため現場はスマホ、事務所はパソコン
いつ頃から使いたいか進め方の段取りを決めるため繁忙期に入る前の、来年の春までには
毎月の予算の感覚その範囲で合う作り方を考えるため月に5万円くらいまでなら

答えられないことがあっても、まったく問題ありません。「分からない」「まだ決めていない」と正直に言えば十分です。分からないことを一緒に整理するのも、相談を受ける側の仕事です。その場で無理に答えを作ると、かえって後で話がずれていきます。

こちらから、必ず聞いておくべき4つのこと

相談は、相手に聞かれるだけの場ではありません。こちらから聞いておくべきことがあります。次の4つは、どの会社に相談するときも、必ず聞いてください。答え方を聞けば、その会社と長く付き合えるかどうかが見えてきます。

  • 「全部で、いくらかかりますか」。最初にかかる費用だけでなく、毎月かかる費用、使い始めてから直してもらうときの費用まで含めて聞いてください。最初が安くても、後から少しずつ費用がかさむ形もあります。
  • 「使い始めたあと、困ったら誰に連絡すればいいですか」。社内にITに詳しい人がいない会社ほど、ここが大切です。電話やメールで聞ける相手がいるのか、マニュアルを渡されて終わりなのかを確かめてください。
  • 「仕事のやり方が変わったら、システムも直してもらえますか」。会社の仕事は、取引先や人が変われば必ず変わります。そのたびに直してもらえるのか、そのときにいくらかかるのかを聞いてください。
  • 「やめるとき、データはどうなりますか」。何年も入れてきた顧客や売上の記録を、やめるときに受け取れるのかどうか。始める前に聞いておくべきことです。

この4つに、はっきり答えてくれる相手を選んでください。答えがあいまいだったり、「その都度お見積もりします」ばかりだったりする場合は、使い始めてから困ることになります。使い始めた後の面倒を誰が見るのかという考え方は、IT担当がいない会社の、業務システム導入で詳しく書いています。

相談の場で、決めなくていいこと

最後に、相談の場で決めなくていいことを書いておきます。まず、その場で契約を決める必要はありません。相談は、自社の困りごとを整理し、どんな形で解決できそうかを知るためのものです。持ち帰って考えるのは当然のことで、それを急かす相手なら、立ち止まって考えたほうがいいでしょう。

次に、作るものを全部決める必要もありません。初めての相談で「どの画面に、どの項目を」まで決めることはまずありません。最初の相談で分かれば十分なのは、「何に困っていて、どこを楽にしたいか」と、「おおよそいくらくらいかかりそうか」の2つです。費用の目安を先に知っておきたい場合は、業務システム開発の費用相場も参考にしてください。そして、1社だけで決める必要もありません。話してみて、こちらの言葉で話を聞いてくれるか、分からないことを分かるまで説明してくれるかを比べるのも、相談の大切な役目です。

よくある質問

Q.何も決まっていない段階で、相談してもいいですか?
A.大丈夫です。むしろ、何も決まっていない段階こそ相談に向いています。「Excelでの管理が大変になってきた」「月末の作業に時間がかかりすぎる」といった困りごとが1つあれば、相談は始められます。何を作るかは、相談しながら一緒に決めていくものです。
Q.ITのことがまったく分からなくても、話は通じますか?
A.通じます。業務の話をシステムの言葉に置き換えるのは、作る側の仕事です。普段の仕事の言葉で、何に困っているかを話してください。もし相手がITの言葉ばかりで話し、こちらの言葉で聞き返してくれない場合は、導入した後もやりとりで苦労する可能性があります。
Q.相談したら、契約しないといけませんか?
A.その必要はありません。相談は、困りごとを整理して、どう解決できそうかを知るための場です。話を聞いたうえで持ち帰って考えるのは当然のことです。その場で契約を急かされるようなら、一度立ち止まって考えることをおすすめします。
Q.相談の前に、社内で準備しておくことはありますか?
A.新しく資料を作る必要はありません。いま使っている紙やExcel、LINEの画面の写真、注文から入金までの仕事の流れ、いちばん困っている場面を1つ。この3つがあれば、話は具体的に進みます。毎月の予算の感覚が1つあると、さらに話が早くなります。
Q.現場のことは社員の方が詳しいのですが、社長だけで相談していいですか?
A.社長だけでも相談はできます。ただ、実際にシステムを使うのが現場や事務の方なら、その方に同席してもらうか、事前に「何がいちばん面倒か」を一言聞いておくと、相談の中身がぐっと具体的になります。使う人の声が最初から入っているシステムほど、使い始めてから定着します。

初めてシステム会社に相談するとき、立派な資料もITの知識もいりません。必要なのは、いま困っていることと、それを伝えるための紙やExcelの写真くらいです。業務の言葉で話し、聞かれたことに分かる範囲で答え、こちらからは費用、困ったときの連絡先、業務が変わったときの対応、やめるときのデータの4つを聞く。それだけで、相談は十分に意味のあるものになります。

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