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仕事への影響

議事録作成担当の仕事はどう変わる? 会議中にフロー図を自動生成するAI登場

会議のヒアリング内容を図に起こし、認識のずれを確認する会議をもう一度開く。この往復に時間を取られてきたアシスタントや企画担当者にとって、会議中に図が完成するとしたら仕事はどう変わるでしょうか。

何が起きたか

株式会社ライトアップは、米TypeSafe AI社の新型AIモデル「Jev」を活用した企業支援「Jev導入支援」を開始します。あわせて自社サービス第一弾として、会議の音声から業務フロー図をリアルタイムに生成する業務コンサルAI「その場フロー」を、2026年9月24日より提供開始します [1]

その場フローは、会議中の発言から業務に関する内容だけを選び出し、担当部署ごとのレーンに分かれた業務フロー図(スイムレーン図)を会議の進行に合わせて生成・更新します。参加者は画面上で図の変化を見ながら、訂正や手順の追加を口頭で伝えれば反映されます [1]

生成した図はdraw.io形式で出力され、そのまま編集・保存できます。担当者が明言していない手順や根拠の弱い手順は破線で表示され、会議中に確認すべき事項として一覧にも残ります [1]

対応するのはマイク入力に加え、Web会議のブラウザタブ音声です。想定される利用シーンとして、業務改善やBPR、システム導入前の現状業務ヒアリング、業務の引き継ぎやマニュアル整備、要件定義ワークショップが挙げられています。先行導入は先着5社としています [1]

背景・解説

Jevは、TypeSafe AI社が2026年9月に公開したAIモデルで、同社は「System Oneモデル」と呼んでいます。ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)が文章をトークン単位で逐次生成するのに対し、Jevは「はい/いいえ」「選択」「段階評価」といったあらかじめ型を定めた問いに対し、確率つきの構造化データで答えます。出力がそのままプログラムで扱える形式のため、問い合わせの振り分けや発言の分類など、答えの型が決まった判断を大量に繰り返す処理に向いているとされます [1][2]

会議の文字起こしをLLMに渡して図を作る方法はすでに広がっていますが、LLMには発言されていない手順をもっともらしく補ってしまう「ハルシネーション」の問題があります。加えて図が完成するのは会議が終わったあとで、業務を知る参加者はすでに解散しているため、確認や修正のやり取りが後日発生してしまいます [1]

その場フローでは、この問題に対して4段階の処理を組んでいます。Jevが発言ごとに「業務の話か」「図に反映すべきか」を確率で判定し、しきい値を超えた発言だけをLLMが図の操作に変換します。その操作をJevが「本当に発言されたか」「担当は誰か」などの観点で再度判定し、通過した操作だけをプログラムがdraw.io形式の図に反映する仕組みです。生成するAIの出力を、別のAIが確かめ、最後の書き換えはプログラムが行うことで、ハルシネーションの混入を抑えつつ会議の速度に追従させています [1]

なお、Jevは同時期に他社のAI APIゲートウェイでも提供されており、1回あたりの判定を安価な定額料金で利用できる仕組みが用意されています。判定に特化したモデルという性格が、こうした料金設計にも表れています [2]

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

会議のヒアリング後に図を描き直し、認識のずれを確認する会議をもう一度開くという二度手間が、この種のAIで減っていきます。図を描く作業自体が会議の外に切り出されなくなるため、アシスタントや企画担当者が「図を作る係」から「図を確かめる係」に役割を移すことになります。

例えば、社員80人ほどの部品メーカーで、業務改善を担当する企画担当者が1人で月3件の現状業務ヒアリングを抱えているとします。これまでは会議後に図を描き直す作業に半日ほどかかり、認識のずれが見つかるたびに30分の確認会議を別途設定していたとしましょう。その場フローのような仕組みを使えば、会議中に図ができあがり、参加者がその場で訂正するため、会議後の作業は資料の体裁を整える程度で済むようになります。月3件のヒアリングであれば、単純計算で月1.5日分の作図時間と、複数回の確認会議の調整が減る計算です。

「要確認」として曖昧な手順が一覧に残る点も実務では効きます。担当者が明言しなかった手順を後からメールで問い合わせる代わりに、会議の終わりにその一覧を見ながらその場で決めきれるからです。宿題が箇条書きで残るため、誰が何を確認すべきかが会議の直後に明確になります。

図がdraw.io形式でそのまま出力される点は、マニュアル整備や内部統制文書の作成を担当する部門にとっても使いどころがあります。ヒアリングの下書きをそのまま社内文書のたたき台にできるため、清書のための転記作業を省けます。判定を担うAIの利用料が1回あたり安価に設定されている例もあり、発言のたびに判定を重ねる仕組みでもコストを抑えやすい構造になっている点は、導入を検討する担当者が押さえておくべきポイントです。

不確かな点・注意

発言だけを頼りに図が組み上がる仕組みのため、参加者が担当や手順をどこまで明言するかによって、図の完成度は変わってきます。曖昧な発言が多い会議では「要確認」の項目が増え、会議中に決めきれない部分がそれだけ残るはずです。

ハルシネーションを抑える多段構成の効果がどの程度かは、具体的な数値では示されていません。JEVの応答速度や既存モデルとの比較についても、TypeSafe AI社の発表に基づくものであり、第三者による確認ではないと注記されています [2]

その場フロー自体の利用料金や契約形態は、今回の出典には記載がありません。先行導入は先着5社に限られており、一般提供時の条件が同じかどうかも明らかではありません [1]。中小企業への展開は代理店ネットワークを通じて進めるとされていますが、時期や規模の詳細は示されていません。

出典

  1. ライトアップ、米TypeSafe AIの新型AIモデル「Jev」の導入支援を開始。自社サービス第一弾として、会議中に業務フロー図をリアルタイム生成する「その場フロー」を提供開始
  2. FastMetal、TypeSafe AI社の構造化判定モデル「JEV 1.13」を提供開始

AI Topica 編集部