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仕事への影響

営業・開発・テクニカルサービス、ユポがクレーム知を4部門で継承

クレーム対応のノウハウが一部のベテラン社員だけに蓄積されている会社は少なくありません。合成紙大手ユポの取り組みは、営業・開発・技術・共創推進という部門をまたいだ知見の継承を考えるうえで、現場部門の管理職にとって参考になる事例です。

何が起きたか

合成紙大手ユポ(東京都千代田区)は、この2年間で組織体制を大きく見直しました。もともとは一人の営業担当者が営業から技術対応まで全てを抱え込む教育方針でしたが、顧客からの相談が高度化・多様化する中で限界が見えてきたといいます。

そこで営業部門の中に開発やテクニカルサービスが担っていた機能を一部取り込み、営業自身が高度な提案をできる形に変えました。逆に開発側にも市場開発の機能を持たせ、双方向で新しい用途の種を育てる役割分担を進めています。

さらに7月に実施したリブランディングに合わせて、「価値を共に創る」という考え方に沿った専門部署「共創推進」を新設しました。これにより、営業・テクニカルサービス・開発・共創推進の4部門が一体となってクレームや課題解決に当たる体制が整ったといいます。内藤勝弘社長は「クレームこそ最大の商機」と言い切り、トラブル対応を通じて積み上がった知見を次世代にどう継承するかを課題として挙げています。

背景・解説

「コト売り」とは、製品そのものを売るのではなく、顧客の課題解決に伴走するビジネスモデルを指す言葉です。日立製作所やNECなど大手ITベンダーが近年掲げる共創モデルと同じ発想ですが、ユポは1969年の設立以来、この伴走型のビジネスを半世紀にわたって現場で続けてきました。

ユポという素材は印刷用紙として生まれましたが、白くて光を反射する機能が評価されて植物工場やLED電球の反射シートにも使われるようになりました。さらに過酷な環境でも耐久性が求められる災害用のトリアージタグにまで用途が広がっています。こうした展開は、顧客が困り事を抱えてユポに行き着き、自分たちで加工・応用した結果生まれたものだといいます。

「暗黙知」とは、マニュアル化されずベテラン個人の経験や勘に蓄積される知識のことです。製品グレードがかつての5〜6種類から大きく増えた今、どの顧客にどのグレードをどう勧めるかという判断は、現場に長く関わった担当者の経験に依存しがちです。ユポが直面しているのは、まさにこの暗黙知をどう部門横断で共有し、次世代に引き継ぐかという課題です。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

クレーム対応の知見が特定の社員に偏っている会社ほど、部門を横断した記録・共有の仕組みづくりを急ぐべきです。例えば従業員100人規模の建材メーカーで、顧客からのクレーム対応を担当する営業担当者が実質2〜3人に集中している場合、その担当者が異動や退職をすれば、顧客ごとの過去のトラブル経緯や解決策がそのまま失われてしまいます。ユポのように営業・開発・テクニカルサービス・共創推進という4部門が同じ案件に関わる体制を作っておけば、1人の頭の中だけに知見が残るリスクを減らせます。

役割分業の進め方も参考になります。ユポは時間のかかる長期案件を専門部署でじっくり育て、営業は目の前の短期案件と新規用途の開拓に注力するという形に分けました。例えば部品商社の営業部門で、1人の担当者が月間20件以上の問い合わせとクレーム対応を同時に抱えている場合、長期的な技術検証が必要な案件だけを別チームに渡す運用に変えれば、担当者あたりの負荷は目に見えて軽くなります。

部門間の情報共有を仕組みとして残す発想は、クレーム対応に限らず営業資料の作成や提案内容の引き継ぎにも応用できます。担当者が変わるたびに顧客対応の質が落ちる会社は、まずどの業務で暗黙知が偏っているかを洗い出すところから始めるべきです。

不確かな点・注意

出典の記事タイトルには「AIによる暗黙知継承」とありますが、インタビュー本文で語られているのは主に組織体制の変更や役割分業の話です。AIを具体的にどう使って知見を継承しているのか、運用の詳細は明らかになっていません。ツール名や導入時期、対象となる業務範囲についても記載がなく、現時点では判断できません。

「クレームこそ最大の商機」という方針や4部門体制については内藤社長・宮口戦略企画本部長の発言に基づく事実です。一方で、体制変更による成果(対応時間の短縮や顧客満足度の変化など)を示す数値は示されていません。他社が同様の体制を導入した場合にどれだけの効果が出るか、この記事だけでは読み取れない点に注意してください。

出典

  1. 「クレームこそ最大の商機」 合成紙大手ユポが半世紀貫く“コト売り”と、AIによる暗黙知継承

AI Topica 編集部