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比較・活用

AIエージェントのEC接続、Walmartは開放・Amazonは遮断

買い物代行をするAIエージェントに対し、小売大手2社がまったく逆の対応を取り始めました。自社サイトでの注文をAIエージェント経由でも受け付けるかどうかは、ECを運営する企業にとって近い将来避けて通れない判断になります。

何が起きたか

Walmartは10月21日(現地時間)、AIエージェントによる買い物に対応する新機能「Agent Gateway」を発表しました[1]。この発表は、競合のAmazonがAIエージェントによる代理購入を遮断し始めた直後に行われました[1]。

Walmartはすでに、Meta社のAIエージェント「Muse」との提携を公表しており、ChatGPTやGeminiといった主要なAIアプリとの連携も提供しています[1]。新たなAgent Gatewayは、AnthropicがAIエージェントの外部データやツールとの接続のために策定した「MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)」に対応したサーバーで、承認済みのエージェントがWalmartの在庫を検索し、利用者に代わって購入を行えるようにします[1]。

来月展開予定の「Agent Profiles」機能では、利用者が使用するAIエージェントごとに専用プロフィールを設定し、エージェントによる購入を自分の購入履歴と分けて確認できるようになります[1][2]。承認方法は、購入のたびに都度承認する方式と、あらかじめ設定した予算の範囲内で自動承認する方式(たとえば100ドルまでといった上限)のいずれかを選べます[2]。対象はWalmartに加え、会員制倉庫店のSam's Clubにも広がります[1][2]。

一方のAmazonは、Perplexityの購入代行エージェントとMetaの「Muse」をブロックしているといいます[2]。旅行予約サイトなど他の業界でも、AIエージェントの消費者利用拡大を受けてサイトへのアクセスを全面的に締め出す対応が広がっていると伝えられています[1]。

Walmartはエージェント向けの利用規約も新設し、エージェントが利用者の意図を超えた行動を取れないこと、決済情報に直接アクセスできないこと、タスクに必要な情報以外にアクセスできないことを定めました。違反したエージェントはサイトへのアクセスを遮断するとしています[1][2]。返品対応については、エージェントが意図通りに動作しなかった場合でも、通常の返品プロセスが適用されるとWalmartは説明しています[1]。

背景・解説

「エージェント型コマース」とは、AIエージェントが利用者に代わって商品の検索から購入までを担う仕組みを指します。利用者は「いつものパンを買っておいて」のように指示するだけで、商品選定から決済までを任せられる点が特徴です。

これを支える技術が「MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)」です。Anthropicが策定したこのプロトコルは、AIエージェントが外部のウェブサービスやデータソース、業務ツールに接続するための共通規格として機能します[1]。WalmartのAgent Gatewayは、このMCPを使ってエージェントとWalmartのシステムを橋渡しする役割を担います。

小売大手2社の対応が分かれた背景には、AIエージェント経由の購入が消費者の間で広がりつつある状況があります[1]。Amazonや一部の旅行予約サイトは、自社サイトの閲覧データや購入履歴が外部のAIエージェントに渡ることへの懸念などから、エージェントのアクセスを遮断する方向に動きました[1]。対してWalmartは、エージェントが利用者の個人情報や購入履歴に直接触れずに買い物を代行できる仕組みを整えることで、逆にエージェントを積極的に受け入れる道を選びました[1]。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

BtoC企業でAIエージェント経由の注文に備えるなら、まずは接続を許可する小売の動きを優先して確認すべきです。例えば、月間数千件の受注をECサイトで扱う食品卸の担当者であれば、自社が出店するモールやAIエージェントの接続可否を四半期ごとに点検する体制を作る価値があります。

Walmartが示した「エージェント専用プロフィール」や「購入ごとの承認・予算内自動承認」という仕組みは、企業が自社の購買管理にAIエージェントを導入する際の参考になります。例えば、従業員30人規模の商社が備品購入にAIエージェントを使う場合、担当者ごとに月間の発注上限額を設定し、上限を超える注文だけ上長の承認を必須にする運用で十分です。

消費者向けの通販事業者にとっては、AIエージェントからの注文をどう扱うかが新たな判断事項になります。すべてのAIエージェントを無条件に遮断する対応は、Amazonのような強いブランド力と自社アプリへの誘導力がある企業でなければ、顧客離れを招きます。中小のECサイト運営者は、まずはAIエージェントがどのような経路で自社サイトに来ているかをアクセスログで把握することから始めるべきです。

返品対応や利用規約の整備も欠かせません。Walmartはエージェントが誤動作した場合でも通常の返品プロセスを適用すると説明しており[1]、この姿勢は利用者の不安を和らげます。自社でAIエージェント経由の注文を受け付ける小売業者は、誤発注時の返品ルールをあらかじめ明文化しておくべきです。

不確かな点・注意

Walmartの新機能が実際にどの程度利用されるかは、現時点の発表からは分かりません。来月開始予定の「Agent Profiles」についても、具体的な提供開始日や対応エージェントの一覧は明らかにされていません[1][2]。

Amazonがエージェントを遮断する理由や、遮断対象となったエージェントの範囲については、出典の記述がPerplexityとMetaのMuseに限られており、全体像は不明です[2]。旅行予約サイトなど他業界の対応についても、具体的な社名は示されていません[1]。

Walmartが示す返品対応や利用規約の運用実態、違反時の判定基準の詳細についても、現時点では公表情報の範囲を超えて確認できません。日本国内でのサービス提供有無についても、出典には記載がありません。

出典

  1. While Amazon blocks AI agents, Walmart rolls out the welcome mat | TechCrunch
  2. Walmart is inviting AI agents to shop for you

AI Topica 編集部