仕事への影響
営業リスト作成が対話AIで完結、営業担当者の見込み客探しはどう変わるか
新規開拓の前段階で、対象企業を絞り込むリスト作りに時間を取られている営業担当者は少なくありません。この定型作業が対話だけで完結するサービスが登場したことで、リード獲得の初動が変わろうとしています。
何が起きたか
HELATH株式会社(大阪府大阪市)は、営業リスト作成サービス「URITAI」で、対話するだけで営業リストが完成するAIエージェントの提供を開始しました。売りたい商品を文章や商品資料で伝えると、国内100万社超の法人データからのターゲット絞り込み、母集団の件数確認、リストの出力までを、一つの対話の中で進められるといいます[1]。
検索の対象になるのは、企業のホームページの本文です。業種分類や会社概要では分からない、受発注の方法や生産体制といった具体的な状況をキーワードから抽出できるとしています。条件を伝えてから候補企業の件数が出るまでは、30秒程度で実施できるとのことです[1]。
主な機能として、各社のサイトを読み込んで適合度を採点する「深掘りと優先順位づけ」、合格ラインを点数で設定して1回で最大1,000社を判定する「マッチングサーチ」、毎日・毎週の自動実行に対応する「定期実行」、既存顧客リストとの突き合わせなどが用意されています[1]。
料金はポイント制です。登録なしの無料プランで20社程度、登録ありの無料プランで月100社程度のリストを作成できます。有料の「プロ」プランは月額30,000円で、月3,000~10,000社程度が目安とされています[1]。
背景・解説
営業リスト作成とは、新規開拓の対象になりうる企業を洗い出し、社名や連絡先などをまとめる作業を指します。従来は業種・地域・従業員規模といった属性データで絞り込む方法が一般的でしたが、同じ条件で作成できるリストは他社も同様に作成できるため、アプローチ先が競合と重なりやすいという課題がありました[1]。
一方で、「紙で受発注している」「多品種少量の生産に対応している」といった、商品が必要とされる具体的な状況は属性データには含まれません。そのため営業担当者は、検索キーワードを自分で考え、検索結果を1社ずつ開いて内容を確認する作業を繰り返す必要がありました[1]。
AIにその場でWeb検索をさせてリストを作る方法もありますが、この方式は検索順位の影響を受けやすく、上位に出にくい企業や、コラムやまとめサイトに埋もれる企業のホームページ自体が候補に上がらない場合があります。既存の営業リストサービスの多くも属性データが中心で、会社概要の短い紹介文からしか輪郭をつかめない点は共通の弱点でした[1]。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
営業担当者が少ない企業ほど、このサービスの効果は大きくなります。例えば、従業員20名の産業機械メーカーで、営業担当者が2人しかいない会社を考えてみましょう。これまでは、検索キーワードを考え、検索結果を1社ずつ開いて内容を確認する作業に半日以上かかっていたとすれば、その工程を対話で置き換えることで、商談や提案に使える時間を増やせます。
見込み客探しの「質」も変わります。属性データだけで絞り込んだリストは競合他社も同じ条件で作成できるため、アプローチ先が重なりやすいという弱点がありました。ホームページ本文から「紙で受発注している」といった具体的な状況を条件にできれば、競合と重ならない見込み客に先にアプローチできる余地が生まれます。
営業マネージャーの役割も変わります。これまでリスト作成の進め方を部下に指示していた立場から、どんな条件で対話を組み立てるかを設計する立場に変わります。例えば、月間100件の新規商談を目標にしている営業チームなら、対象企業の条件を文章化して定期実行に登録しておくことで、毎週の増分だけを確認する運用に切り替えられます。リストを「作る」時間から、リストを「使う」時間に配分を移すべきです。
一方で、リストの精度がそのまま商談成約率に直結するわけではありません。対話で絞り込んだ候補企業が実際にニーズを持っているかどうかは、最終的に営業担当者が電話やメールで確認する工程が残ります。リスト作成の時間短縮を、商談準備や提案内容の作り込みに再投資できるかどうかで、導入効果の大小は変わります。
不確かな点・注意
出典には、対話から候補企業の件数が出るまでの時間が30秒程度とありますが、実際の絞り込みの精度や、業種によって適合率がどの程度変わるかは明らかにされていません。導入企業数や、既存の営業リストサービスと比較した成約率などの実証データも公表されていません。
料金はポイント制で、リストを出力するだけか、1社ずつサイトを読み込んで適合を判定する「深掘り」まで行うかでポイント消費量が変わるとされています。具体的な消費量やプランごとの上限は出典に明示されておらず、想定より早くポイントを使い切る可能性については利用前の確認が必要です。
また、検索対象は国内100万社超のホームページ本文とされていますが、ホームページを持たない企業や更新頻度が低い企業は候補から漏れる余地があります。業種や地域によってはカバー率に差が出ることも考えられるため、導入を検討する際は無料プランでの試用を通じて自社の対象企業がどの程度拾えるかを確認するのが妥当です。