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Uber、全従業員3万人に「ChatGPT Work」を全社展開
全社員にAIエージェントを使わせたら、現場はどう変わるのでしょうか。配車サービス大手Uberが打ち出した全社展開は、段階を踏んだ導入のお手本として読み解く価値があります。
何が起きたか
Uberと米OpenAIは、企業向けパートナーシップを拡大すると発表しました。配車サービス大手のUberは、全世界の従業員およそ3万人がOpenAIの企業向けAIエージェント「ChatGPT Work」を使い始めることをTechCrunchの取材に明らかにしています。
ChatGPT Workは2026年7月に登場した企業向けのAIエージェントで、企業のチームがさまざまな業務の流れに組み込んで使える製品です。Uberは当初、今年に入ってから従業員1000人を対象に試験導入し、その範囲を全社に広げた形になります。
試験導入は財務・オペレーション・プロダクトなど複数の部門の従業員を対象に実施され、早期の利用者のうち約8割はエンジニア以外の社員だったといいます。Uberのエンジニアリング担当バイスプレジデント、スマンス・スクマー氏は、業務データの分析による傾向把握や改善提案づくり、各市場向け研修資料の多言語化、個人ごとのダッシュボード作成などに使われたと説明しています。
Uberは今回の全社展開にかかる費用を明らかにしていません。スクマー氏は、従業員がどのように使い、どんな業務の流れを作り出すかを追跡し、その結果を踏まえて今後のAI活用の方針を決めると述べています。
背景・解説
ChatGPT Workは、企業のチームが日常業務に組み込んで使うことを想定したAIエージェントです。AIエージェントとは、指示を受けて複数の作業手順を自律的にこなし、人の代わりに一連のタスクを進めるソフトウェアを指します。質問に答えるだけのチャットボットと異なり、データ分析や資料作成といった作業をつなげて実行できる点が特徴です。
Uberは今回の全社展開に先立ち、30人のAIエンジニアを社内の各チームに2週間配置し、業務の一部を自動化する「AIポッド」という取り組みも実施しました。スクマー氏はこの経験から、専門知識と現場の業務理解を組み合わせることで多くの改善余地が見つかったと振り返っています。
OpenAIにとって今回の提携拡大は、企業向け事業を広げる動きの一環です。消費者向けブランドとして知られてきた同社は、競合のAnthropicと競り合いながら、企業顧客の獲得を急速に進めてきた経緯があります。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
社員数が数百人規模の企業でも、全社員への一斉展開より部門を絞った試験導入から始める方が現実的です。Uberも1000人規模の試験導入を経てから3万人への拡大に踏み切っており、効果を見極めてから範囲を広げる段取りを踏んでいます。例えば、従業員300人の物流会社が管理部門とカスタマーサポート部門の合計50人程度でAIエージェントを先行導入し、3カ月ほど使い方や成果を見てから全社展開を判断するやり方は、Uberの進め方と重なる部分があります。
早期利用者の8割がエンジニア以外だったという点も、実務責任者が押さえておくべき材料です。AIエージェントの導入効果は、開発部門よりも財務・オペレーション・人事といった非エンジニア部門でより大きく出ます。例えば、経理担当者が5人の中小企業であれば、月次レポートの下書き作成や多言語マニュアルの整備といった定型業務からAIエージェントに任せる部分を切り出すことで、残業時間を目に見えて減らせます。
Uberが30人のAIエンジニアを各チームに2週間配置し、業務自動化の実験を行った点も参考になります。専門知識を持つ人材と現場の業務知識を組み合わせる体制を作れば、導入効果は大きく変わります。社内にAI活用の専任担当がいない企業であれば、まずは1つの部署に絞って外部のエンジニアと2週間程度の集中的な検証期間を設ける進め方が現実的です。導入費用を公開せず、利用実績を見ながら方針を固めるUberのやり方は、効果測定の仕組みを先に用意してから予算を決めるという順序の大切さを示しています。
不確かな点・注意
Uberは今回の全社展開にかかる費用を明らかにしていません。導入によって業務時間や成果がどれだけ変わったかという具体的な数値も公表されていないため、効果の大きさは現時点では判断できません。
ChatGPT Workをどの業務にどこまで使うかについて、Uber自身も方針を固め切れていない様子が読み取れます。スクマー氏は各チームに実験の余地を残す方針だと説明しており、全社一律の使い方を定めているわけではありません。今後、利用実績の分析を踏まえてUberの運用方針がどう変わるか、追加の発表を待つ必要があります。