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AI活用でストレージ需要拡大、準備十分な企業は38%のみ

AI活用の広がりとともに、社内で扱うデータ量は静かに膨らみ続けています。処理性能を担うGPUには目が向きやすい一方、そのデータを保存し続けるストレージ基盤の準備状況を測った調査結果が公表されました。

何が起きたか

Seagate Technologyは、企業のAI活用を支えるデータインフラの準備状況を調べた「Data Infrastructure Readiness Report 2026」を発表しました。調査はSeagateの委託を受けたRecon Analyticsが5~6月に、米国、中国、インド、英国、ドイツ、フランス、日本の7カ国・地域を対象に実施し、企業のテクノロジー意思決定者2712人から回答を得ています。

結果によると、企業のテクノロジー意思決定者の99%が、今後3年間でAIによってストレージ要件が増加すると予測しています。一方で、AIが長期的にもたらすデータ需要への準備が「十分にできている」と回答した企業は38%にとどまりました。32%はストレージ需要が50%を超えて増加すると見込んでおり、98%がAIによってストレージが「戦略的なビジネスインフラ」へ変化していると認識しています。

AI導入上の課題としては「データ品質とデータの準備状況」を挙げた企業が53%で最も多く、「ストレージインフラ」も43%に達しました。日本市場については、準備が十分にできていると回答した企業が16%にとどまり、グローバル平均を下回っています。

背景・解説

今回の調査が指すストレージとは、AIの学習や推論に使うデータ、生成された結果、業務システムのログなどを保存し、必要なときに取り出せる状態にしておく基盤のことです。AIインフラをめぐる話題では、計算処理を担うGPUなどの計算資源に関心が集まりやすい傾向がありますが、AIの利用が広がるほど、学習・推論に使うデータの量そのものも増えていきます。データを保存する場所と、それを高速に取り出す仕組みが伴わなければ、AIの処理能力を生かせません。

Seagateは、この状況に対応する考え方として「Sustainable Scaling(持続可能なスケーリング)」を掲げています。AIの処理能力やビジネス価値を拡大しながら、それを支えるインフラの効率性も同時に高めていく発想です。調査では、77%の企業が持続可能性やエネルギーへの懸念からAIインフラの拡張を延期または再構築した経験があると回答し、このうち36%は拡張計画を大幅に見直していました。ストレージの整備は、容量を増やすだけでなく、電力消費や運用コストとのバランスを取りながら進める課題になっています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

ストレージへの投資判断を後回しにしている企業ほど、AI活用が本番運用に移った段階で追加コストの見積もりに苦しむことになります。例えば、従業員300人規模の製造業がAIによる画像検査システムを試験導入から工場全体の本番運用に広げる場合、検査画像や検査ログのデータ量は試験段階の何倍にも増えます。この段階でストレージ容量やアクセス速度の見積もりを済ませていなければ、システムが稼働し始めてから容量不足に気づき、追加調達に時間とコストを取られることになります。

調査では、日本企業のうち準備が十分にできていると答えた割合が16%にとどまっており、他国と比べても低い水準です。情シス部門やIT投資の意思決定者は、AIの導入計画を立てる段階で、計算資源の調達計画とセットでストレージの拡張計画も策定すべきです。データセンターへの投資を優先事項に位置付けている企業は76%に達しており、投資自体の必要性は多くの企業が認識しています。問題は、その投資が「ストレージ需要が想定以上に増える」という前提のもとで計算されているかどうかです。

例えば、経理・総務部門でAIを使った文書処理や画像解析を年間数千件規模で行う会社であれば、処理対象となる文書や画像のアーカイブが積み重なり、数年後には初期導入時の想定を超える容量が必要になります。IT部門は、AI導入計画を立てる際に「3年後にデータ量が何倍になるか」を数値で見積もる作業を、予算編成のタイミングに合わせて行うべきです。

不確かな点・注意

今回の調査はストレージ製品を扱うSeagateが委託した調査であり、回答企業の業種別の内訳や、日本国内の回答者数、質問文の詳細な文言までは記事中では明らかになっていません。「準備が十分にできている」という回答が、具体的にどのようなインフラ構成や投資額を基準にした自己評価なのかも記事からは判断できません。

また、86%の企業がAI投資から中程度以上のROIを得ていると回答している点についても、ROIの測定方法や算出基準は示されていません。日本企業の準備状況が16%と低い背景についても、コメントとして紹介されている見解以上の詳細な要因分析は記事中に含まれておらず、今後の追加情報を確認する必要があります。

出典

  1. 99%がAIでストレージ需要増を予測、十分な準備ができている企業は38%--シーゲート調査

AI Topica 編集部