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Runway、AI動画生成を「待たずに操る」ライブ配信型に

動画生成AIの「プロンプトを打って待つ」という手順が、話しながら映像がその場で流れる形に変わろうとしています。Runwayが示した研究は、広告や教育の動画制作だけでなく、ロボットや自動運転の開発現場にも関わる内容です。

何が起きたか

Runwayは、AI動画生成をリアルタイムのストリーミングに変える研究成果を公開しました。ユーザーがプロンプトを打って結果を待つのではなく、説明しながら映像がその場で流れる仕組みを目指しています。

現在の動画生成モデルは、プロンプトを入力してから数秒から数分待ち、完成した動画を受け取る手順が基本です。仕上がりが意図と違えば、最初からやり直すしかありません。Runwayによると、利用者が最も時間を失っているのは生成とやり直しの工程で、最初のフレームが出るまでの時間を極力短くし、その後はプロンプトに応じて映像を流し続けることを目指しているといいます。

この方向性は3月に発表された「Runway Characters」で最初に示されました。基盤となるのは2025年12月に発表した「General World Model」の第1弾GWM-1です。Gen-4.5をもとにフレーム単位で映像を生成し、カメラの動きやロボットへの指示、音声を制御信号として受け付けます。数週間前には、Gen-4.5を使ってユーザーインターフェースをフレーム単位で生成し、クリックや音声入力に応じて画面を変える「Solaris」も披露されました。

さらに3月には、NVIDIAとの共同研究として、GTCで公開されたリアルタイムモデルの研究プレビューもあります。NVIDIAのVera Rubinプラットフォーム上で動作し、最初のフレームを100ミリ秒未満で表示する設計です。提供開始の時期は明らかにされていません。

背景・解説

ここでいう「ワールドモデル」とは、映像だけでなく物理法則やカメラ操作、ロボットの動きといった外界の変化までを学習し、フレームごとに予測して生成するモデルを指します。従来の動画生成は文章から一括で完成品を作る仕組みでしたが、ワールドモデルは1フレームずつ計算し、直前のフレームを土台に次のフレームを積み上げる点が違います。

この積み上げ方式には弱点もあります。文章生成AIなら途中で言い直せますが、動画モデルは一つ前のフレームの誤りをそのまま引き継ぐため、小さなずれが時間とともに大きな崩れへと膨らんでしまいます。Runwayはこの点をLLM型アプローチの根本的な課題と位置づけ、正しい映像だけでなく自らが生成した映像でも学習させることで、ずれを増幅せずに修正する力を持たせたと説明しています。似た発想はスタートアップのDecartが手掛けるMirageLSDにも見られ、あえて崩れた画像を訓練に混ぜる手法が使われました。Google DeepMindのGenie 3は、720pで毎秒24フレームの対話的な世界を数分間保てるといいます。

Runwayはこうした技術の使い道として、教育・ゲーム・ロボティクスなど「見ている人と同じ速さで反応する映像」が必要な分野を挙げています。ロボットや自動運転車が世界の中でどう振る舞うかを評価する際にも、即座に反応する環境が求められるためです。Runwayは以前、ロボット向けの学習データを生成するGWM Roboticsを発表済みで、Waymoも同種の発想でGenie 3をもとにした「Waymo World Model」を道路交通向けに調整し、象との遭遇や竜巻、浸水した住宅街といった実車では出会っていない状況を仮想空間で走らせています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

動画制作を外部発注している企業ほど、修正の往復にかかる時間と費用を削れます。例えば、従業員30人の広告制作会社でSNS広告動画を月20本手がけるディレクターなら、仕上がりを確認してから直しを頼み直す手順を、話しながらその場で映像を調整する手順に置き換えられます。これまで1本の修正ごとに生成をやり直して数分から数十分待っていた工程が、プロンプトを重ねる作業そのものに変わります。

コストの面でも変化が起きます。Runwayは、処理が速くなるほどGPUの利用時間が減り、同じ品質でも単価が下がると説明しています。月の動画制作予算が50万円ほどの広報チーム1人でも、単価が下がれば同じ予算でより多くの修正を試せるようになり、これまで採算が合わなかった用途にも動画生成を使えるようになります。

ロボティクス開発の現場にも波及します。例えば、従業員200人の産業機械メーカーで安全評価を担当するエンジニア5人なら、実機を動かす前にワールドモデル上で想定外の場面を何度も試せます。Waymoが象や竜巻、浸水した住宅街といった実車で出会っていない状況を仮想空間で走らせているのと同じ発想を、工場の非常停止シナリオや搬送ロボットの回避行動に当てはめられます。実際に事故を起こしてから対策を考える必要はなくなります。

現時点では研究発表であり、提供時期は未定です。それでも、動画制作の見積もりに「待ち時間」という項目を組み込む必要は薄れていきます。

不確かな点・注意

Runwayは、リアルタイム生成モデルの提供開始時期を明らかにしていません。NVIDIAと共同開発した研究プレビューも、GTCで示された段階のものです。誤りが積み重なって映像が崩れる問題への対策も、Runway自身の説明にとどまり、独立した第三者による検証結果は示されていません。GWM Roboticsが実際にどの程度ロボット開発に使われているかも、公開された情報からは分かりません。

出典

  1. Runway wants to turn AI video generation into a live stream you control in real time

AI Topica 編集部