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神を信じなくてもAI拒否は認められる、米大学職員の職場配慮事例

職場でのAI利用を会社が義務化したとき、「信仰上の理由」で断れる人はどれくらいいるでしょうか。神を信じない人でも免除の対象になり得ることを示す事例が、米国で報じられました。

2026年10月31日 17:00 公開約4分で読めますAI Topica 編集部

この記事の要点

1米ケンタッキー大学の職員デビッド・ダーマン氏が、職場でのAI利用に対する宗教的配慮(免除)を取得
2根拠は特定の神への信仰ではなく「ヒューマニズム」という非有神論の思想
3同様の配慮は、ソフトウェアエンジニアのエリン・マウス氏にも先例があった
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何が起きたか

米ケンタッキー大学の職員デビッド・ダーマン氏が、職場でのAI利用に関して宗教的配慮免除を取得しました。ダーマン氏が拠り所とするのは特定の神への信仰ではなく、「ヒューマニズム」と呼ばれる非有神論の思想体系です。

ダーマン氏は日常生活にAIが浸透していく様子を見て、米国の非営利団体アメリカン・ヒューマニスト協会AHAに相談し、職場でAI利用を強制されないための法的保護を調べたといいます。AHAが今週公開した声明の中で、ダーマン氏は「AIは人々の生計を脅かし、環境への負荷は人類と地球にとって破滅的であり、人間の創造性を奪うことで文化を損なう」という趣旨を述べています。

AHAによれば、ダーマン氏はこうした免除を得た最初のヒューマニストで、この種の保護を求めたことを公に語った最初期の一人だとしています。ダーマン氏自身は、ユニテリアン・ユニバーサリストでソフトウェアエンジニアのエリン・マウス氏が同様の保護を得たと知り、自分も申請しようと考えたと明かしました。

ケンタッキー大学の広報担当ジェイ・ブラントン氏はTechCrunchに対し、大学は宗教的配慮の申請を個別に審査しており、従業員の職務内容や申請の事情を踏まえて判断していると説明しました。今回のケースでは、職務の中核となる業務を続けられる形で配慮を提供できると大学側が判断したとしています。

ダーマン氏は研究者の助成金申請を支援する管理業務を担っており、現時点ではAI利用を義務付けられていません。ただし同僚や上層部から利用を勧められることがあり、将来義務化される場合に備えて、先に免除を申請したといいます。

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背景・解説

ヒューマニズムとは、神や超自然的な存在への信仰を前提とせず、個人と社会双方の「幸福と繁栄」を重んじる考え方です。ダーマン氏は「人間の経験や、人間が世界とどう関わるかについての一連の信念」であり、「自分自身と周囲の人々の幸福と繁栄を高めようと努めることを求める」思想だと説明しています。

米国の職場における宗教的配慮は、特定の神への信仰だけでなく、誠実に保持された倫理的・道徳的な信念体系にも適用され得ます。AHAのスタッフ弁護士アレクサンドリア・ハイスケンズ氏は、AIと人間の尊厳への懸念はカトリックの教えやユニバーサリズム、ヒューマニズムなど複数の信仰や伝統を横断して存在しており、ヒューマニストや無神論者もこうした法的保護の対象になることを知ってほしいと述べています。背景には、ローマ教皇レオ14世がAIを人間の尊厳への脅威として批判してきた経緯もあります。

先例となったマウス氏のケースは特殊な面があります。ソフトウェアエンジニアという職種で、AIの支援を一切使わずにコードを書く人はすでに珍しくなっているためです。一方でダーマン氏の業務は助成金申請の支援という管理職務であり、AI利用が業務上必須ではない点が配慮を得やすくした一因とみられます。

03AI Topicaの見方

仕事や業務への影響

AI利用を「推奨」から「必須」へ切り替える企業ほど、宗教的・思想的理由による配慮申請を受け止める人事制度を先に整えておくべきです。義務化を発表してから個別対応を考え始めると、担当者の判断がその場しのぎになり、社内の公平性にも疑問が生じます。

例えば、従業員300人規模の国内製造業で、調達部門に所属する50代の担当者が「見積もり作成はAIアシスタントを使うこと」という新しい業務指針に反対したとします。人事部がこの申し出を単なる抵抗と見なして拒否すれば、トラブルの火種になりかねません。逆に、申請の背景にある考え方を個別に確認し、業務の中核を損なわない範囲で代替手段を用意できれば、1件の申請対応に数時間を割くだけで済みます。

今回の事例が示すのは、配慮の対象が特定の宗教団体の信者に限られないという点です。人事担当者は「信仰」という言葉だけで対象者を絞り込まず、思想・良心に基づく申し出も審査の対象になり得ることを前提に、申請フォームや相談窓口の設計を見直す必要があります。AI利用方針を社内規定に明文化する際には、例外申請の受付先と判断基準をあわせて定めておくことが望ましいです。

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不確かな点・注意

今回の事例は米国の雇用関連法の枠組みの中で成立したものであり、日本の労働関連法制でこの種の配慮がどこまで認められるかは出典からはわかりません。制度や判例が異なる国の事例をそのまま日本の職場に当てはめることはできません。

ダーマン氏の職場でAI利用が現時点で義務化されているかどうかも明確ではなく、同僚や上層部からの「推奨」にとどまっている段階です。将来の義務化に備えた予防的な申請だった点には注意が必要です。

また、免除がどのような条件や期間で認められたか、代替業務の具体的な内容については出典に記載がありません。こうした配慮申請が今後どの程度の規模で広がるのかについても、現時点では判断する材料がそろっていません。

出典

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