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「AIで雇用喪失」49%の日本、米豪韓は7割超 世界37カ国調査で判明した認識差
AIが自分の仕事を奪うという不安は、世界共通でしょうか。米ピュー研究所が37カ国を対象に行った調査では、その答えが国によって大きく割れることが分かりました。日本企業で働く人にとっても、自社の危機感が世界標準からどれだけずれているかを知る手がかりになります。
何が起きたか
米ピュー研究所が2026年初頭に世界37カ国を対象に実施した調査で、「AIが今後20年間で自国の雇用にどのような影響を与えると思うか」を尋ねた結果が、2026年9月17日付のレポートで公表されました。
その結果、日本を含むほとんどの国で「AIは雇用喪失を引き起こす」と回答した人の割合が、「AIは雇用増加を引き起こす」と回答した人の割合を上回りました。特にオーストラリア・韓国・アメリカでは70%以上が雇用喪失を予想したのに対し、日本では49%にとどまっています。
一方、「AIは雇用増加を引き起こす」との回答が「雇用喪失」を上回ったのは37カ国中ナイジェリアのみで、その差はわずか1ポイントでした。全体では成人の5分の1以上がAIの雇用への影響について確信を持てておらず、ケニア・タイ・フィリピン・コロンビア・マレーシア・スリランカ・インド・メキシコといった中所得国では「よくわからない」との回答が35%を超えました。
調査ではあわせて、1人あたりGDPが高い国ほど雇用喪失への懸念が強い傾向や、多くの国で18〜34歳の若年層が50歳以上より雇用喪失を懸念しやすい傾向も確認されています。
背景・解説
ピュー研究所は、アメリカに拠点を置く調査機関で、世論や社会動向に関する国際比較調査を継続的に行っている組織です。今回の調査は、AIによる自動化が世界的な話題になる中、各国の市民が実際にどの程度の危機感を持っているかを横並びで比較できるようにした点に特徴があります。
背景には、「AIは産業革命のように一部の仕事を消し去る一方で、新たな仕事も生み出す」という見方と、「AIは純粋に雇用を減らすだけだ」という見方の対立があります。今回の調査結果は、少なくとも一般市民の実感としては後者の見方が優勢であることを示しています。
なお、調査では雇用への影響だけでなく、「AIが貧富の差を拡大するか」という質問も行われました。こちらも全体的に「拡大する」との回答が多く、特に韓国・オーストラリア・アメリカ・ギリシャ・カナダでは4割以上がそう答えています。日常生活でのAI利用拡大については、懸念する人が最多の約37%を占めつつ、41%は期待と不安が同程度と回答しており、雇用への懸念と日常利用への感覚は必ずしも一致しないことも読み取れます。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
日本企業の経営者や管理職は、社内の危機感が世界平均より低いという前提で説明責任を果たすべきです。今回の調査で日本の「雇用喪失」予想は49%と、オーストラリア・韓国・アメリカの70%超に比べて明確に低い水準でした。これは、日本の従業員がAI導入の影響を過小評価している可能性を示す材料になります。例えば、従業員80人規模の地方の製造業で、経営層がAI活用による業務改善を進めようとしても、現場の担当者が「自分の仕事には関係ない」と受け止めていれば、導入の説明や研修の準備が後回しになりやすくなります。
人事担当者は、AIに関する社内説明会や研修の設計時に、この認識ギャップを織り込む必要があります。海外拠点を持つ企業であれば、日本本社と米豪韓の現地法人とで、AI導入に対する従業員の受け止め方に温度差が生じることも織り込んでおくべきです。例えば、従業員300人の商社が米国子会社と日本本社で同じAI活用方針を発表する場合、米国側では雇用不安に配慮した丁寧な説明が要り、日本側では危機感の醸成そのものが課題になります。
経営企画担当者にとっては、社内アンケートでAIへの受け止めを定点観測する価値があります。年1回程度、全社員向けに簡単な意識調査を行うだけで、自社の危機感が世界標準とどれだけ乖離しているかを把握できます。危機感が低すぎる組織は変化への準備が遅れ、高すぎる組織は不要な不安から人材の離職を招きます。どちらの偏りも、経営判断の材料として可視化しておくべきです。
不確かな点・注意
今回の記事で紹介した数値は、あくまで市民の「予想」や「懸念」を尋ねた世論調査の結果であり、実際にAIによって雇用がどれだけ増減したかを示す統計ではありません。回答者が「AI」や「雇用喪失」をどのような範囲でイメージして答えたかは、出典からは分かりません。
日本国内における年代別・性別・所得別の詳細な内訳も、出典の記述だけでは明らかではありません。若年層の方が雇用喪失を懸念しやすい傾向は複数国で確認されていますが、日本がその傾向に当てはまるかどうかは本文からは判断できません。
また、調査は2026年初頭に実施されたとされていますが、質問項目や調査方法(対面・オンラインなど)の詳細、回答者数、抽出方法についても出典には具体的な記載がなく、数値の解釈には幅を持たせる必要があります。アメリカの支持政党別の分析は2026年6月時点の別調査に基づくものであり、37カ国調査本体の時期とは異なる点にも注意が必要です。