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パナソニック エナジー、データセンター向け蓄電池で売上高1兆円目指す

生成AIの普及でデータセンターの消費電力が急増する中、車載電池で知られるパナソニック エナジーが蓄電システム事業を収益の柱に据える戦略転換を進めています。データセンターへの投資や電池の調達を検討する企業にとって、この動きは設備投資計画やコスト交渉の前提を変える材料になります。

何が起きたか

パナソニック エナジーは、データセンター(DC)向け蓄電システム事業の売上高を2028年度に約1兆円規模まで引き上げる目標を掲げています。これは現在の約3倍にあたる水準です[1]。同社は2024年頃からDC向け製品の展開を始め、2026年春には大阪工場の車載用電池ラインをDC向けリチウムイオン電池(LIB)に転用し、出荷を開始しました[1]。

代表取締役社長執行役員CEOの只信一生氏は合同取材に応じ、生成AIなどで高度化するデータセンターを「今後の『つながる社会』の根幹となるインフラ」と位置づけ、DCインフラを支えることが社会全体の成長貢献につながると説明しました[1]。車載電池事業を成長のドライバー、DC向け事業を収益の柱と位置づけ、両輪でバランスを取る方針です[1]。

現在展開する主な製品は、停電時のバックアップ電源とピーク抑制を担うバッテリーバックアップユニット(BBU)、AIの急激な処理負荷変動を吸収するキャパシタバックアップユニット(CBU)、サーバーラック全体に電力を供給する分散型電源システムの3種類です[1]。単体部品から電池、システムまで一気通貫で手掛ける点を強みとしています[1]。

背景・解説

BBUはサーバーラックに搭載され、数十本規模のリチウムイオン電池を内蔵する機器で、停電時の電源供給や電力ピーク時の負荷抑制を担います。CBUはスーパーキャパシタを使い、AIの処理負荷が急変した際に瞬時の充放電を行う装置です[1]。生成AIの普及によってDCは短時間で処理負荷が大きく変動するようになり、こうした電力変動に対応する蓄電システムの需要が高まっている、というのが今回の戦略転換の背景にあります。

パナソニック エナジーは供給体制の整備にも動いています。国内のLIB生産能力を2028年度までに2025年度比で約3倍に引き上げるほか、米国カンザス工場では2028年度からDC向けセルの量産を開始する計画です。モジュールについてもメキシコの新工場を2026年度第2四半期と2027年度に順次稼働させ、北米で完結するサプライチェーンの構築を目指しています[1]。2026~2028年度の3年間で総額3500億円を投資し、投下資本利益率(ROIC)20%以上の確保を目指すとしています[1]。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

データセンターへの投資を計画する企業ほど、電源システムの調達先選びが今後の設備投資の成否を左右します。例えば、従業員300人規模の製造業でオンプレミス型のAIサーバーを増設中の情報システム部門責任者が電源設備の更新を検討している場合、電池セルからシステムまで一貫して提供できるベンダーが増えることは、調達先の比較検討の幅を広げる材料になります。パナソニック エナジーが2026~2028年度に3500億円を投じて国内の生産能力を2025年度比で約3倍に引き上げる計画は、DC向け蓄電システムの供給不足が和らぐ材料の一つです。

一方で、電池メーカー側の事業構造の変化は、車載電池の調達条件にも波及します。車載電池を主力としてきたメーカーが収益の柱をDC向けに移す動きが強まれば、投資の重心が変わる分だけ車載電池の供給計画や価格交渉の前提も変わります。例えば、EVを量産する自動車メーカーの調達担当者は、電池メーカーの投資配分の変化を踏まえて、来期以降の車載電池の供給契約条件を早めに確認しておくべきです。

DC投資を検討する企業にとっては、電源をセル単体ではなくBBUやCBUのようなシステム単位で調達する発想が標準になっていきます。来期の設備投資計画には、こうしたシステム単位での比較検討を組み込むことが欠かせません。

不確かな点・注意

今回の内容は、パナソニック エナジーへの合同取材における只信氏の発言と、同社が示した目標・計画が根拠です。2028年度に売上高1兆円という数値はあくまで目標であり、実績ではありません。国内LIB生産能力の3倍化や米国・メキシコ工場の稼働時期も計画段階の情報で、需要動向や投資判断によって変わる余地があります。他の電池メーカーの動向やDC向け蓄電システム市場全体の規模については、出典に記載がなく比較できません。CBUの量産開始時期も2026年度中の計画にとどまり、具体的な出荷量や価格は明らかにされていません。

出典

  1. パナソニック エナジー、AIデータセンター市場で放つ「一気通貫」の蓄電システム戦略--売上高1兆円へ

AI Topica 編集部