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OpenAIの新モデル、価格は半分でも性能はほぼ横ばい

AIの利用料金を下げたいと考える会社にとって、今回の発表は歓迎できる内容です。ただし「安くなった分だけ賢くなった」と早合点すると、期待外れに終わります。

何が起きたか

OpenAIは新モデル「GPT-6 Sol」と「GPT-6 Luna」を発表しました。入力・出力ともにトークン価格を前世代の「GPT-5.6 Sol」「GPT-5.6 Luna」から半額に引き下げています。Solは1百万トークンあたり入力2ドル・出力10ドル、Lunaは入力0.10ドル・出力0.50ドルです。OpenAIはキャッシュ利用時の入力トークンを90%割引にしたことや、キャッシュ利用状況を確認できる新しいダッシュボードを用意したことも明らかにしています。

これまでラインナップで最も安価だった「Terra」は提供終了となりました。両モデルはChatGPT WorkやCodexで、Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduの契約者から利用できます。無料プランとGoプランの利用者はデスクトップアプリ経由でLunaのみ使え、通常のチャット画面では当面利用できません。APIでは「gpt-6-sol」「gpt-6-luna」として提供され、ChatGPT側の展開は順次進める方針です。

OpenAIは複数の独自ベンチマークで、価格に対する性能の良さを競合の高価格モデルと比較して示しました。一方、独立分析機関Artificial Analysisは、コストは前世代の半分になった一方で、知性を測る指標は前世代とほぼ同水準にとどまり、評価項目によっては数値が下がったと報告しています。

背景・解説

まず言葉の整理から始めます。「トークン」とは、AIモデルが文章を処理する際の最小単位で、料金は入力・出力それぞれ「100万トークンあたり何ドル」という形で決まります。今回の値下げは、この単価そのものを半分にしたという意味です。

OpenAIの製品ラインでは、複雑な作業を繰り返しこなす用途向けの「Sol」と、低コストで大量の定型作業をこなす「Luna」という役割分担があります。今回はどちらも価格を下げつつ、前世代からの置き換えという位置づけで投入されました。

比較対象として言及されているのは競合企業の高価格帯モデルです。OpenAIは、自社の低価格モデルが競合の高価格モデルに近い成績を大幅に低いコストで出せる、という切り口で優位性を説明しています。ただし、この比較に使われたベンチマーク(評価用テスト)は、業界で一般的に使われる評価項目の一部が含まれておらず、選び方に偏りがあるとの指摘も出ています。

一方のArtificial Analysisは、OpenAIとは別の立場で複数のAIモデルの性能とコストを継続的に計測している分析機関です。この機関はOpenAIの主張とは異なる角度から、今回のモデルの実力を数値化しています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

AI利用料金の見直しを検討している会社ほど、この発表の実利は大きくなります。例えば、月間のAPI利用でトークン費用が10万円かかっている経理部門が、同じ処理量のまま新モデルに切り替えれば、単価半額の分だけ月々の負担を5万円程度まで抑えられます。文書要約や短い質問応答など定型業務が中心なら、価格の安いLunaで十分です。

ただし、単価が下がったからといって、出力の質そのものが底上げされたと期待するのは早計です。独立分析では知性指標が前世代並みにとどまり、一部の評価項目では点数が下がったと報告されています。例えば、契約書レビューのような専門知識を要する業務を任せている法務担当者は、価格だけで乗り換えを判断せず、実際の出力を数十件単位で見比べてから移行を決めるべきです。

社内で同じOpenAI製品同士を比べる場面でも注意が必要です。出典で紹介されたソフトウェア開発向けの評価では、安価なLunaを最大の処理能力で使った場合と、上位のSolを高い設定で使った場合の成績差はわずか2.2ポイントでした。コストは数倍違う一方で性能差はほとんどないため、情シス部門がモデルを選定する際は、価格帯の異なる2つの選択肢を同じ業務で試し、費用対効果が高い方を採用すれば済みます。

不確かな点・注意

今回のベンチマーク比較は、OpenAIが自社で選んだ評価項目に基づいており、業界で一般的に使われる別の指標は含まれていません。そのため、実際の業務での使い勝手を正確に映しているとは限りません。

独立分析機関Artificial Analysisの評価についても、過去に別モデルで評価基準が古く低く出過ぎたと指摘され、後に基準を更新した経緯があります。今回の評価が最終的な結論になるかどうかは、現時点でわかっていません。

ChatGPT側での新モデルの展開は順次進める方針とされているため、無料プランや通常のチャット画面でいつから使えるようになるかは明らかにされていません。導入を検討する場合は、自社の契約プランで実際に利用できるかどうかを事前に確認する必要があります。

出典

  1. OpenAI's GPT-6 Sol and Luna cut prices in half but barely move the needle on performance

AI Topica 編集部