日経225社のllms.txt設置率は5%、AIクローラー対応の実態を解説
自社の情報がAI検索の回答にどう反映されるか、意識したことはあるでしょうか。その入り口となる「llms.txt」と「robots.txt」の設置状況を、日経平均株価の構成銘柄225社について調べた結果が公表されました。多くの企業がまだ判断を下していない実態が見えてきます。
この記事の要点
何が起きたか
生成AIの研修・コンサルティング・開発を手がける株式会社Uravationが、日経平均株価の構成銘柄225社の公式サイトを2026年10月23日に調査し、結果を公表しました。
調べたのは2つのファイルです。1つは、AIが読むためのサイト案内ファイル「llms.txt」の設置状況。もう1つは、「robots.txt」の中でAIクローラーの名前が具体的に書かれているかどうかです。
llms.txtについては、応答のあった180社のうち設置していたのは9社(5.0%)にとどまりました。153社は該当ファイルが存在せず、18社は別のHTMLページが返ってきたといいます。
robots.txtでAIクローラーの名前を記載していたのは、応答のあった184社のうち9社(4.9%)でした。残りの175社(95.1%)には記載がなく、ChatGPT・Claude・Perplexityの検索用ボットを全面拒否していた社は1社もありませんでした。調査は個社名を公表しない形で実施されています。
背景・解説
「robots.txt」は、検索エンジンなどのクローラーに対して、サイト内のどのページを読んでよいかを伝えるための、以前から使われてきた仕組みです。ここにAIクローラーの名前を書くかどうかで、各社がAIへの対応を意識しているかどうかがある程度見えてきます。
一方の「llms.txt」は、AIがサイトを読む際に参照する案内ファイルという、比較的新しい概念です。自社が何者で、どのページを読めば必要な情報にたどり着けるかをAI向けにまとめておく役割を持つとされています。
AIクローラーには大きく2つの種類があります。1つは、ChatGPTやClaudeなどのモデルを学習させるために使われるクローラー(GPTBot、ClaudeBot、Google-Extended、CCBotなど)。もう1つは、利用者がAI検索で質問した際にその場でサイトを読みに来るクローラー(OAI-SearchBot、Claude-SearchBot、PerplexityBotなど)です。両者を区別せずに一律で止めてしまうと、AI検索経由での流入まで失う恐れがあります。
今回の調査では、学習用クローラーのGPTBotを全面拒否していた社が1社、ClaudeBot・Google-Extended・CCBotをそれぞれ全面拒否していた社が1社ずつありました。一方、AI検索用のOAI-SearchBot・Claude-SearchBot・PerplexityBotについては、全面拒否は0社で、一部拒否が数社見られるにとどまっています。また、クローラー名が記載されていないサイトでは「すべてのクローラー向け」の規則が適用されますが、この規則で全面拒否としていた社も0社でした。
仕事や業務への影響
この結果が意味するのは、ほとんどの企業がAIクローラーへの対応を「決めていない」という状態そのものです。拒否も許可も明示せず、既定のまま放置しているサイトが9割以上を占めていることになります。
例えば、従業員300人規模のBtoB製造業で広報・マーケティングを1人で兼務している担当者がいる会社を考えてみます。問い合わせフォームに「AI検索で御社の名前を見て連絡しました」という声が増えているのに、どのページがAIに読まれているかを確認したことがなければ、回答内容が実態と食い違っていても気づけません。まずはrobots.txtを開き、AI検索用クローラーを誤って遮断していないかを確かめる作業から始めるべきです。確認には数十分もかかりません。
llms.txtの設置そのものを急ぐ必要はありません。設置している9社も、電気機器・情報通信・精密機器など業種はばらついており、「置けば効果が出る」という単純な話ではないからです。優先すべきは、会社概要・サービス内容・料金・問い合わせ先といった基本情報を、誰の質問にどのページで答えるかという形で社内で整理し直すことです。その整理ができて初めて、llms.txtに書く中身が決まります。整理を後回しにしたままファイルだけ置いても、実務上の効果は限定的です。
不確かな点・注意
今回の調査で取得できなかった社があり、robots.txtで41社、llms.txtで45社は「取得できず」として分母から除外されています。これらの社がどのような状態かは分かりません。
調査は各ファイルにつき1回だけ、2026年10月23日時点の状態を取得したものです。時間の経過とともに設置状況が変わっている可能性があり、継続的な観測結果ではない点に注意が必要です。
個社名は公表されていないため、どの業種・どの企業が先行しているかを読者が個別に確認することはできません。また、公式サイトは1社1つに限定して調査されており、別ドメインの製品サイトやサイト直下以外に置かれたllms.txtは対象に含まれていません。実際の対応状況は、今回の集計よりも広がっている余地があります。
出典
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