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日本総研が国産LLM「PLaMo」を全社導入、オンプレミスで追加学習の検証も開始
機密情報を外部に出さずにAIを使いたい企業にとって、金融グループの情報システム会社がどんな選択をしたかは参考材料になります。日本総研が選んだのは、クラウド型の外部APIではなく、自社環境に置く国産LLMでした。
何が起きたか
日本総合研究所(日本総研)とPreferred Networks(PFN)は、PFNが開発する国産大規模言語モデル(LLM)「PLaMo」のライセンス契約を締結しました。この契約に基づき、日本総研は2026年10月からオンプレミス環境で「PLaMo 3.0 Prime」の全社利用を始めます。同時に、PLaMoの追加学習の検証にも着手したと発表しています。
活用対象として挙げられているのは大きく2領域です。1つはSMBCグループの金融システム開発・保守・運用で、設計書やソースコードのレビュー支援、障害発生時の影響範囲調査、長年稼働するシステムの仕様確認といった業務での利用を想定しています。もう1つは社内規程の検索・照会、議事録や報告書の作成、翻訳といった社内業務・バックオフィス業務です。
今回の契約に至るまでに、日本総研は約半年間にわたり実業務を想定したPLaMoの評価を実施しています。その結果を踏まえ、全社的なAI活用の推進と独自の業務知見を反映したAI基盤の構築を目指すとしています。
背景・解説
LLMとは、大量の文章データを学習し、文章作成やプログラムの生成、質問への応答などを自動でこなす人工知能の一種です。ChatGPTなどで使われている技術の基盤にあたります。国産LLMは、こうしたモデルを日本の企業や研究機関が日本語データを中心に学習させて開発するもので、海外製モデルに比べて日本語特有の言い回しや国内の法令・商習慣への適合性が高いとされています。
「オンプレミス」とは、クラウドサービスを介さず、自社が保有・管理するサーバー上でシステムを稼働させる運用形態です。入力した情報が外部のクラウド事業者のサーバーを経由しないため、機密性の高いデータを扱う企業にとって情報漏洩のリスクを抑えやすいという特徴があります。日本総研はSMBCグループの金融システムを支える立場にあり、顧客情報や取引データなど機密性の高い情報を日常的に扱います。そのため、外部にデータを出さずに運用できるプライベートLLMとしてPLaMoを評価してきた経緯があります。
ライセンス契約には、モデルをそのまま使うだけでなく、自社データを使って追加学習を行う権利も含まれます。追加学習によって、長年蓄積してきたシステム開発・運用のノウハウや暗黙知をモデルに取り込み、自社業務に合わせた応答精度を高めることを目指すとしています。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
経理・システム保守・コンプライアンスなど、社外に出しにくい情報を日常的に扱う部署ほど、このニュースは検討材料になります。例えば、従業員300人規模の地方銀行で、勘定系システムの保守とコールセンター対応を兼務する情報システム部門が20人程度いるとします。この部署では、過去の障害対応記録や顧客情報を参照しながら問い合わせに答える業務が日常的に発生しますが、クラウド型の外部AIサービスに顧客データを入力することには抵抗が残ります。日本総研の事例は、オンプレミスの国産LLMであれば、こうした部署でも情報を外に出さずにAIを使える体制を作れることを示しています。
一方で、全社員が使えるAI基盤を整えるには相応の準備が必要です。日本総研は契約締結までに約半年間の実業務評価を重ねており、導入を急ぐよりも自社業務への適合性を確認する工程に時間をかけています。中堅企業がオンプレミスAIの導入を検討する場合も、数週間の試用だけで判断せず、実際の業務データに近い形でテストする期間を確保すべきです。
追加学習によって自社の業務知識を反映させるという発想も参考になります。設計書のレビューや問い合わせ対応のように、業種・企業ごとに独特の用語や判断基準がある業務では、汎用モデルのままでは回答の精度に限界があります。同様の課題を抱える企業であれば、まずは自社の過去の対応履歴やマニュアルをどの範囲まで学習データとして使えるかを整理するところから始めるので十分です。
不確かな点・注意
今回の発表では、全社利用によってどの程度業務時間が短縮されたか、あるいは問い合わせ対応の精度がどれだけ向上したかといった具体的な効果の数値は示されていません。追加学習の検証についても、いつまでにどのような性能基準を満たすモデルを目指すのか、詳細なスケジュールは公表されないままです。
また、全社員がどの程度の頻度でPLaMoを利用するのか、利用率の目標や進捗を測る指標があるのかどうかも分かっていません。PLaMo 3.0 Primeの性能について、他の国産・海外LLMと比較した第三者評価のデータも今回の発表には含まれていないため、金融業務での実力は今後の活用実績を待って判断する必要があります。