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仕事への影響

見積作成が2〜3時間から5分に、建設・製造の中小企業で何が変わったか

見積書の作成に毎回2〜3時間を費やしている会社は、建設・製造業に限らず珍しくありません。ある書籍の制作取材で、この作業が最短5分に変わった現場が報告されました。営業・見積担当者の仕事量そのものが変わる可能性を、数値から確認します。

何が起きたか

合同会社オールズバーグは2026年9月28日、書籍『中小企業こそAIで大化けする』(著者・佐藤尚功、扶桑社発売)を刊行しました。制作にあたり、AI活用支援を手がける株式会社ウツセバと同社の支援先を取材し、中小企業10業種の現場でAIが業務にどう使われ、何がどれだけ変わったかを確認したとしています。

取材で確認した変化として、建設・製造業の見積作成では1件あたりの作成時間が2〜3時間から最短5分になったという数値が示されました。このほかにも、不動産業の問い合わせ初回対応時間が約7割短縮、税理士事務所の仕訳・資料整理業務が約7割削減、卸売業の受注入力が10人分から約2.5人分の工数になったなど、業種別の数値が公開されています。

これらはいずれも新しい設備やシステムの導入によるものではなく、社内にすでにある商談メモや日報、図面、手書き記録などの材料をAIに渡したことによる変化だと説明されています。

背景・解説

見積作成とは、顧客からの問い合わせや仕様をもとに、材料費・工数・納期などを積算して提示価格を算出する業務です。建設・製造業では案件ごとに条件が異なるため、過去の類似案件を探し出し、数量を拾い直す作業に時間がかかりやすい点が特徴です。

今回取材対象となった株式会社ウツセバは、大阪府豊中市を拠点に約2年にわたり中小企業のAI活用支援を続けてきた会社です。著者の佐藤尚功氏は同社の代表取締役社長で、研修や会員制サロン、個別伴走支援を通じて2025年度までに500社超の支援実績があるといいます。書籍では、大きなシステム投資から始めず、最初の30日で社内の材料を集め、次の30日でAIに渡し、最後の30日で現場に戻す「90日AI実装ロードマップ」も収録されました。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

見積作成に2〜3時間かけている営業担当者や事務担当者がいる会社ほど、この変化による恩恵は大きくなります。例えば、従業員30人規模の建設会社で、見積担当が1人で月20件の見積書を作成している場合、1件2時間かかっていた作業が5分で済めば、月の作業時間は約40時間から1.7時間程度にまで圧縮されます。浮いた時間を現場調査や顧客対応に回せば、同じ人数で対応できる案件数を増やせます。

今回の取材では、見積作成以外にも卸売業の受注入力や税理士事務所の仕訳業務など、定型的な情報整理を伴う業務で同様の時間短縮が報告されました。共通しているのは、過去の商談メモや図面、資料をAIに読み込ませ、既存の情報を使い回す形で出力させている点です。新しいシステムの導入やデータベースの構築を伴わない点も見逃せません。つまり、見積作成を担う部門が「材料はあるが整理に時間がかかっている」状態であれば、AI導入の効果は早く出やすいことになります。

一方で、見積金額の妥当性や特殊仕様の判断そのものは、依然として人の確認が必要な領域です。AIが時間を縮めるのは積算や資料整理の工程であり、価格交渉や顧客との折衝といった営業の中核部分の仕事が消えるわけではありません。営業担当者が担うべきは、浮いた時間をどう顧客接点の強化に振り向けるかという判断です。

不確かな点・注意

リリースに記載された数値は、株式会社ウツセバの支援先における実測値および同社による試算とされています。一部には時給3,000円・月160時間などの前提を置いた換算が含まれており、業種や企業規模が異なれば同じ短縮幅が再現されるとは限りません。

算出根拠の詳細は取材時に提示できるとされていますが、本リリース自体には個別企業名や見積作成プロセスの具体的な手順は記載されていません。導入にかかった期間や費用、AIに読み込ませた資料の分量についても、本リリースの内容からは判断できません。

出典

  1. 見積2〜3時間が5分に 中小企業10業種のAI実装現場を取材

AI Topica 編集部