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メインフレーム離脱、7割超が失敗するとGartner予測 生成AI過信に警鐘

メインフレームからの脱却を急ぐ企業にとって、生成AIは頼れる助っ人になるのでしょうか。Gartnerが示した予測は、その期待に冷静な視線を向ける内容でした。国産ベンダーの事業撤退で退路が狭まる中、経営者や情シス担当者が知っておくべき事実を整理します。

何が起きたか

Gartnerは2026年6月、2026年に開始されたメインフレーム離脱プロジェクトの70%超が、意図した利益を生み出せずに終わると予測を発表しました。同社のアレッサンドロ・ガリンベルティ氏(バイスプレジデント・アナリスト)は、生成AIが複雑なレガシーコードを変換・移行する能力について、市場で語られる内容と現実の間にギャップがあると指摘しています。

同氏によると、投資家からの強い圧力によって、ベンダーは成果改善への寄与が明確でない場合でも自社製品にAIを組み込む傾向にあるといいます。メインフレームアプリケーションは基幹業務を支えているため移行失敗時の影響が大きく、加えてメインフレームに熟練した人材が減少していることも背景にあるようです。

同じ時期、日立製作所はメインフレーム向け専用OS「VOS3」の販売を2027年11月に、保守を2034年12月に終了する方針を発表しました。今後は既存システムを刷新するモダナイゼーション事業に経営資源を移すとしています。富士通に続く国産ベンダーの撤退表明により、システム刷新を先送りする選択肢は年々狭まっています。

背景・解説

メインフレームとは、金融機関や製造業の基幹業務を長年支えてきた大型の汎用コンピューターです。老朽化した資産を刷新する「メインフレーム離脱」は、業務ロジックの解読からコード変換、テストまで工程が多く、失敗すれば基幹業務そのものが止まりかねない重い取り組みになります。

刷新の担い手不足も深刻です。日本タタ・コンサルタンシー・サービシズの加藤浩章氏(グローバルコンサルティングプラクティス統括本部 コンサルティングパートナー)は、SAPのERP「SAP ECC 6.0」からの移行案件で、伴走していたコンサルティング会社が体制を組めなくなり、日本拠点の15社に提案を依頼した結果、全社から辞退されたという事案を紹介しています。数億円規模の案件でも受け手がつかないという事態は、コンサルタント不足の深刻さを物語ります。

こうした人手不足を埋める存在として期待されてきたのが生成AIです。しかし、Gartnerの予測は、その期待だけを頼りに離脱計画を立てる危うさを浮き彫りにしました。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

経理部門が5人規模で、20年以上稼働する会計システムをメインフレーム上に抱える中堅製造業があるなら、「生成AIがコードを自動変換してくれるから大丈夫」という前提で刷新計画を組むのはやめるべきです。Gartnerの指摘どおり、生成AIによる変換能力への期待と実際の成果には差があります。ベンダーの提案書にAI活用の記載があっても、それだけで工数やコストの見積もりを圧縮する根拠にはなりません。

情シス部門が10人規模の企業なら、まず着手すべきは生成AIの選定ではなく、構想策定に社内人材を割り当てることです。加藤氏が最優先の対策として挙げるのは、要件定義の前段にある構想策定であり、所要期間や人員体制の全体像を描き、精度の高い概算コストを算出する作業です。基幹系システムの再構築経験者が社内に1人でもいれば、その人材を中心にRFP(提案依頼書)を作成し、ベンダー選定を進められます。コンサルタントが不足する状況では、この構想策定の質がプロジェクトの成否を左右します。

刷新プロジェクトの意思決定者が見るべき数字は、AIツールの導入率ではなく、社内に「現行システムがなぜそうなっているか」を説明できる人材が何人残っているかです。日立製作所の後藤恵美氏(AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット Head of Modernization CoE)が指摘するように、不足しているのはCOBOLを書ける人材ではなく、業務の意図を理解する人材です。従業員300人規模の企業で、その人材が1人しかいないなら、その1人が退職する前に構想策定を終える計画を組む必要があります。

不確かな点・注意

Gartnerが示した「70%超」という数値は、どの規模・業種の企業を対象に、どのような調査手法で算出されたのかまでは明らかにされていません。プロジェクトの失敗をどう定義しているか(コスト超過か、期限遅延か、機能未達か)も出典からは判別できません。

日立製作所が進める現新照合テストでの生成AI活用についても、不一致箇所の検出精度や、人手による確認作業がどの程度削減されたかを示す具体的な数値は示されていません。生成AIをどこまで活用できるかは、企業ごとのシステム規模やドキュメントの整備状況によって差が出ると見るのが妥当で、一律の判断は避けるべきです。

出典

  1. 脱メインフレーム、7割超が失敗 背景に「生成AIへの過信」 2026年度上半期システム刷新記事ランキング

AI Topica 編集部