AI Topica

仕事への影響

商品企画・MD担当者の問い合わせ対応をAIが肩代わり KURUKURUとMUNICAが連携

ECサイトを複数ブランドで運営する企業では、商品選びの相談や購入後の問い合わせがブランドの数だけ積み重なり、対応の質をそろえる負担も膨らんでいきます。KURUKURUグループにLINE CRMを手がけるMUNICAが加わり、この負担を減らす仕組みづくりが動き出しました。商品企画やMD担当者が担ってきた顧客対応の仕事も、AIとの役割分担という形で変わっていきます。

何が起きたか

株式会社KURUKURU(東京都中央区、代表取締役・関沢康寛氏)のグループに、2026年8月4日付でEC事業者向けLINE CRMツール「MUNICA for LINE」を手がける株式会社MUNICA(旧社名・rite株式会社、代表取締役・櫻井恵輔氏)が加わりました。

KURUKURUは、寝具の「GOKUMIN」、トラベルの「MAIMO」、ビューティケアの「Ur.Salon」など複数のD2Cブランドを、商品企画から販売、顧客対応まで一貫して運営する企業です。MUNICAは2018年8月の設立以来、EC事業者とLINEでつながる顧客向けのCRMツールを開発してきました。

今回の提携でまず進めるのは、各ブランドの商品データと顧客対応の知見をもとにしたAI接客の開発です。MUNICAが開発を担い、KURUKURU各ブランドの公式オンラインストアへ順次導入します。あわせて、商品企画・販売・広報などブランド運営業務を効率化するAIプロダクトの開発も進め、グループ内で磨いた仕組みをEC事業者向けサービスとして外部提供していく方針です。

背景・解説

LINE CRMとは、LINEの公式アカウントを通じて顧客データを管理し、配信や問い合わせ対応に生かす仕組みを指します。MUNICAの「MUNICA for LINE」は、購買データと連携したセグメント配信や、カートに商品を入れたまま離脱した顧客への配信、間接的な購入効果の計測など、EC運営に必要な機能に絞って設計されているのが特徴です。

AI接客は、商品の仕様や過去の問い合わせ内容といった情報をもとに、AIが顧客からの質問へ回答を作る仕組みを指します。KURUKURUのようにブランドと顧客の数が増えるほど、商品選びの相談や購入後の問い合わせの件数も増え、担当者だけで同じ品質の案内を保つのは難しくなります。グループ側はこの課題に対し、現場の商品知識とMUNICAの開発力を組み合わせ、自社の手でAI接客の仕組みを設計し改善し続けられる体制を作ろうとしています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

複数ブランドを抱えるEC事業者ほど、商品企画・MD担当者が担ってきた一次対応の問い合わせ業務はAIに置き換わり、担当者の役割は例外対応と最終確認に絞られていきます。これまで商品企画・MD担当者は、商品データの収集・整理から、問い合わせ内容の確認、回答文の作成、内容のチェック、送信までを一人で担うケースも珍しくありませんでした。今回の仕組みでは、商品データと過去の問い合わせ履歴の収集、FAQとして使える形への前処理、AIによる回答案の生成、担当者による内容の評価、最終的な送信確認という流れに変わります。担当者が直接手を動かすのは、評価と最終確認の2段階に限られます。

例えば、仮に寝具ブランドを運営し1日あたり50件の商品問い合わせをMD担当者2人で対応している会社があるとすれば、AIが一次回答案を作ることで担当者が目を通す件数は例外的な質問を中心とした10件前後に絞られます。残り40件はAIの回答案をそのまま送る運用に変わり、担当者は空いた時間を新商品の企画や販促の設計に充てられます。トラベルやビューティケアなど商品説明が複雑で問い合わせの多い業種ほど、この効果は大きくなります。

外部提供が始まれば、自社でAI接客を一から構築する体力を持たない中小のEC事業者にも同様の変化が及びます。商品情報の更新を月に数回しか行えていなかった担当者も、AIが生成した回答案を確認するだけで済むようになれば、更新頻度を週単位に引き上げることが現実的になります。人が担う仕事は「作る」から「確かめる」へ役割が移り、回答案の評価精度を上げる教育が新たに必要です。

不確かな点・注意

今回の発表では、AI接客の導入時期やブランドごとの開始順序など、具体的なスケジュールは明らかにされていません。商品企画・販売・広報向けのAIプロダクトについても開発段階にとどまり、どの業務にどの程度の効果が出るかは示されていません。EC事業者向けサービスとしての提供開始時期や料金体系も未公表です。法人営業の採用を進めているとの発表はありますが、体制の規模やグループ内導入の完了時期は不明な点として残ります。

出典

  1. EC運営の“内側”からAI接客をつくる|KURUKURUグループに、EC事業者向けLINE CRMを手がける株式会社MUNICAが参画

AI Topica 編集部