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KDDI、企業のAIエージェント開発を支援 閉域網でオンプレデータも連携
生成AIを業務に取り込みたい企業ほど、専門人材の不足やセキュリティ、社内データの整備という壁にぶつかりがちです。KDDIが始めた新サービスは、この3つの課題をまとめて引き受ける形で用意されました。
何が起きたか
KDDIは9月18日、Google Cloudの「Gemini Enterprise」を活用した「KDDI AIエージェント開発支援」の提供を始めました。企業における業務効率化や生産性向上を後押しするサービスと位置づけています。
企業で生成AIの活用が広がる一方、専門人材の不足に加え、機密情報や個人情報を扱う際のセキュリティ、社内に分散したデータの整備が本格導入の課題になっていると説明しています。今回のサービスは「Gemini Enterprise app」のライセンスに、KDDIアイレットによる開発支援、KDDIの閉域網サービスを組み合わせ、こうした課題への対応を目指す内容です。
具体的には、KDDIアイレットが課題のヒアリングから企画、開発、導入、運用までを支援し、ELYZAが独自モデルの開発など専門性の高い案件にも対応します。セキュリティ面では、閉域網サービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」を使い、インターネットを介さずに企業のオンプレミス環境のデータとも連携できる仕組みにしました。データ整備はフライウィールが担い、PDFや表計算ファイル、電子メール、画像など社内に分散した多様な形式のデータを整理・構造化して「AI-Ready」な状態にします。さらに、経済情報プラットフォーム「Speeda」の情報とAIを組み合わせ、市場調査や分析業務の高度化も支援します。
KDDIは、情報収集や分析、申請・承認、レポート作成といった業務プロセスへの適用を想定しており、KDDIとグーグル・クラウド・ジャパンが結んでいる戦略的協業契約のもと提供されるサービスです。
背景・解説
AIエージェントとは、指示を受けて情報収集や資料作成、判断の一部までを自律的に進めるAIの仕組みを指します。単に質問に答えるだけの生成AIと違い、複数の業務ステップをつなげて処理できる点が特徴です。
「Gemini Enterprise」はGoogle Cloudが提供する企業向けのAIプラットフォームで、業務にAIエージェントを組み込むための基盤として使われます。ただ基盤があるだけでは、実際の業務で使える形にはなりません。どの業務に適用するかの設計、機密データを安全に扱う仕組み、社内に散らばったファイルをAIが読み取れる形に整える作業が別途必要になり、ここに専門人材の不足という壁が生まれます。
「閉域網」は、インターネットを経由せずに通信を行うネットワークのことです。KDDIの「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」を使えば、社外のクラウドサービスと社内のオンプレミス環境を、外部のネットワークを通さずにつなぐことができます。機密性の高いデータをAIに読み込ませる際、情報漏えいの懸念を抑える手段として位置づけられています。今回のサービスは、こうした要素をKDDIグループ内で一括して提供する形にまとめたものです。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
社内に専門のAI人材を抱えていない中堅企業ほど、この形のサービスは導入の助けになります。例えば、従業員300人規模の製造業で、情報システム部門の担当者が2〜3人しかいない会社を想定します。この規模では、AIエージェントの企画から開発、社内データの整備までを自前でこなす体力がないケースが多く、開発支援とデータ整備、閉域網によるセキュリティ対応を一括で頼める点は選択肢として現実的です。
一方で、対象業務を絞り込む姿勢は欠かせません。情報収集や分析、申請・承認、レポート作成のように定型化しやすい業務から始めれば、効果を測りやすくなります。逆に、判断の余地が大きい業務にいきなりAIエージェントを当てはめるのは避けるべきです。
経理部門やバックオフィスで月間数百件規模の申請処理を抱えている会社なら、まず承認フローの一部だけを試すやり方が現実的です。全社展開を急ぐより、限定した業務での効果を見極めてから広げる進め方が、投資に対する説明のしやすさにもつながります。
不確かな点・注意
サービスの利用料金や契約条件、対象となる企業規模の目安は、出典の範囲では明らかにされていません。ELYZAによる高度なAI開発支援やフライウィールによるデータ整備が、それぞれどの範囲まで標準サービスに含まれ、どこから追加費用が発生するのかも不明です。
「AI-Ready」な状態にするまでの作業期間や、閉域網経由での連携にどの程度の初期設定が必要かといった導入の実務的な負荷も、記事からは読み取れません。実際に導入を検討する場合は、自社のデータ量や業務範囲に応じた見積もりを個別に確認する必要があります。