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日本への攻撃急増でHPが動く エッジAI搭載PCとコンサル型営業

サイバー攻撃のたびに現場が右往左往する状況を、PC選びと営業対応の両面で変えようとしている企業があります。米HPの幹部が、日本市場向けの新しい考え方を語りました。

何が起きたか

2026年7月に発生した冷凍食品大手ニチレイへの不正アクセスは、全国の食品サプライチェーンに影響を及ぼしました。アスクルやアサヒビールへの攻撃も相次ぎ、PCを使うあらゆる企業にとってセキュリティ対策が避けられない課題になっています。

こうした状況を受け、来日した米HPグレーターアジア地区シニア・バイスプレジデントのマイケル・ボイル氏が、日本市場向けの新しい方針をインタビューで語りました。まず打ち出したのは、営業モデルの転換です。単にハードウェアを売り切るのではなく、顧客の潜在課題を特定し助言する「コンサル型営業」を育成し、購入後も未然予防やライフサイクル管理まで伴走する方針だといいます。

具体的な保護機能としては、マルウェア攻撃から自動復旧する「TPM Guard」や、日本市場で評価の高い覗き見防止技術「Sure View」を挙げ、顧客の課題に応じて組み合わせていくとしています。

さらに開発中の機能として紹介されたのが「HP IQ」です。設計図が公開された「オープンウェイトAIモデル」をエッジ側に搭載し、デバイス単体でAI処理を完結させることで、クラウドに接続せずにAIを使え、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを根本から遮断できるとしています。同社は定型業務をAIに任せることを「Manage」、人間が新しい価値を生み出すことを「Make」と呼び、両者の役割分担を強調しました。

背景・解説

まず用語を整理します。エッジAIとは、データをクラウドに送らず端末(エッジ)側でAI処理を行う仕組みのことです。オープンウェイトモデルは、AIモデルの内部パラメータ(設計図に相当する数値)が公開されているモデルを指します。コンサル型営業は、機器の販売だけでなく、顧客の課題把握から運用・廃棄までの助言を継続的に行う営業スタイルです。

背景には、日本企業を狙ったサイバー攻撃の頻発があります。ボイル氏は、問題発生の頻度自体は日本と他地域とで大きな差はないとしつつ、日系企業が多くの知的財産を持つことから、日本企業のセキュリティ意識は確実に高まっていると分析しています。企業の最高情報責任者からの相談も増えているといいます。

一方で、ボストンコンサルティンググループが2026年6月に発表した調査によると、生成AIを週に複数回利用する一般従業員の割合は世界平均74%に対し日本は66%にとどまり、アジア他国の90%超と比べても慎重な姿勢が目立ちます。ボイル氏はこれを「品質や安全性を重視するため導入に慎重なだけ」と捉え、有用性に納得すれば急速に業務プロセスへ組み込まれていくとの見方を示しました。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

経理・総務など機微な社内データを扱う部署が多い会社ほど、エッジAI搭載PCとコンサル型営業の組み合わせは検討する価値があります。例えば、従業員300人規模の食品卸会社で、情シス担当者が1人しかいない場合を考えてみます。攻撃を受けてから対処法を調べる余裕はなく、購入時点で予防策と復旧手順まで助言してもらえる営業体制は実務上の助けになります。

クラウドに接続せずAI処理を完結させる仕組みは、機密性の高い契約書や顧客名簿を日常的にAIで要約・検索したい部署にとって選択肢が広がる話です。総務部で毎月数十件の契約書チェックをAIに任せたい会社なら、情報がクラウドを経由しない構成は情報漏えいのリスクを抑える手段になります。

ただし、全社員がこの水準のセキュリティを必要とするわけではありません。取引先とのやり取りが少なく、扱うデータもほぼ社内限定という部門であれば、既存のセキュリティ対策の見直しで十分です。導入を検討する際は、自社が抱える情報の機密度と、担当者の人数・スキルを先に洗い出すべきです。営業担当者からの提案を鵜呑みにせず、自社の課題に合った機能かどうかを見極めることが実務責任者には求められます。

不確かな点・注意

「HP IQ」は記事時点で開発中の機能として紹介されており、具体的な発売時期や価格、日本での提供計画は明らかにされていません。エッジAI処理によって漏えいリスクを「根本からシャットアウトできる」という説明も、同社側の主張であり、独立した第三者による検証結果は出典に示されていません。

ボストンコンサルティンググループの調査は職場全般での生成AI活用状況を示すものであり、HP製品の効果を測ったデータではない点にも注意が必要です。日本企業のセキュリティ意識や攻撃頻度に関するボイル氏のコメントも、同氏個人の分析としての発言であり、統計的な裏付けの詳細は記事内では確認できません。導入を検討する場合は、自社の環境で追加の情報収集を行うべきです。

出典

  1. 「アサヒ・ニチレイの惨劇」はどう防げた? 米HP幹部が語る“ネット遮断AI”と日本攻略

AI Topica 編集部