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生成AI活用54.6%、ルール浸透は15.1%どまり 管理職調査でガバナンスの遅れが判明

生成AIを会社の管理下で使う企業は過半数を超えました。ところが、そのルールが従業員にしっかり浸透している企業はごく一部にとどまっています。この差は、AIを使わせる段階から安全に使わせる段階への移行が進んでいない実態を映しています。

何が起きたか

アビタス教育総合研究所は9月15日、全国の管理職350人を対象に実施した「生成AIの業務利用と管理体制に関する実態調査」の結果を公表しました。対象は30歳から65歳までの課長職以上の正社員管理職です。

調査によると、会社が契約・承認した「ChatGPT」や「Gemini」「Claude」などの生成AIを何らかの形で業務利用している割合は54.6%に達しました。「全社的に利用している」が26.0%、「一部部署で利用している」が19.7%、「試験的に利用している」が8.9%という内訳です。

一方、利用ルールやガイドラインが「整備され、従業員にも十分浸透している」と答えた割合は15.1%にとどまりました。両者の差は39.5ポイントに及びます。34.9%の企業は、必要性を認識しつつ整備できていない、または十分な検討自体が進んでいない状態にあります。

さらに、会社が管理していない個人アカウントや無料版の生成AIを業務に使う従業員がいると答えた管理職は31.7%でした。利用実態を十分に把握できていないと答えた管理職も44.6%に上っています。管理職が最も懸念するリスクは「AIが生成した誤情報の利用」で43.1%、次いで「機密情報や個人情報の漏えい」が33.7%でした。

背景・解説

今回の調査は、2025年9月に全面施行された「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI法)を背景に実施されました。生成AIの業務利用の広がりと、それを管理する体制の現状を確認する目的です。

調査では「AI活用」を生成AIの業務利用そのものと定義し、「AIガバナンス」を利用ルールの整備、利用実態の把握、リスク評価、責任体制、監査・点検などを含む管理・統制活動と定義しています。つまりAI活用は「使っているかどうか」、AIガバナンスは「安全に使わせる仕組みがあるかどうか」を指す別の指標です。

この2つの指標を並べたことで、企業が「導入は進んだが管理は追いついていない」段階にあることが可視化された点が、この調査の特徴といえます。実際にリスク評価の仕組みが「あまり整備されていない」「全く整備されていない」と答えた企業は合わせて51.1%に達しました。AIリスクを評価できる知識や経験を持つ人材が「あまりいない」「全くいない」とする回答も48.2%に及び、体制と人材の両面で不足が浮かび上がっています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

生成AIをすでに全社導入している会社ほど、今すぐルールの浸透度を点検すべきです。導入が先行し、統制が後追いになる企業ほどトラブルの発見が遅れます。例えば、従業員80人規模の製造業で情報システム担当が1人しかいない会社なら、社員が個人契約のAIサービスを業務に使っていても、担当者がその実態を把握する時間を取れないまま数か月が経過することが起こり得ます。

管理職が最も懸念しているのは漏えいではなく「誤情報をそのまま使うこと」でした。43.1%が誤情報リスクを挙げている以上、営業資料や顧客向け回答を生成AIで作る部署は、出力内容を人が確認する手順を業務フローに組み込むべきです。確認担当を1人指名するだけでも、誤情報が顧客に届く事故は減らせます。

ルール未整備の34.9%に自社が当てはまる場合、まず着手すべきは大がかりな監査体制ではなく、従業員向けの利用ルールの明文化です。今後必要な取り組みとして管理職が最も多く挙げたのは「従業員への生成AI・リスク教育」の36.6%で、「利用ルールやガイドラインの整備」の32.0%が続きました。監査人材の育成は7.7%、外部専門家の活用は3.1%と低く、まず社内の教育とルール整備から始めるのが実務的な優先順位です。人事や総務が5人以下の中小企業であれば、既存の情報セキュリティ規程に生成AI利用の条項を1本追加するだけでも、浸透率は大きく変わります。

不確かな点・注意

この調査は管理職本人の回答に基づくもので、実際の従業員の利用実態や意識との一致は確認されていません。回答者が自社の運用状況を正確に把握していない可能性がある点は、ルール浸透率15.1%という数字そのものにも当てはまります。

対象業種や企業規模の内訳は記事中で明らかになっていないため、業種による差の大きさは分かりません。調査を実施したアビタス教育総合研究所はAI教育を含む事業を手掛ける団体であり、教育やリスク人材育成の必要性を強調する結果になりやすい立場にある点も念頭に置く必要があります。ヒヤリハットの発生状況を31.1%が「把握していない」と答えている点からも、トラブル件数の実数はさらに多い可能性が残ります。

出典

  1. 生成AI活用は過半数に達するもルール浸透は15%止まり

AI Topica 編集部