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仕事への影響

生成AI7割が「別画面」利用、情報収集・資料作成担当の効率化が頭打ちに

情報収集や資料作成で生成AIを使っていても、業務システムとは別の画面で操作している限り、効率化には限界があります。テックタッチの調査は、その構造をあらためて浮き彫りにしました。

何が起きたか

デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)ベンダーのテックタッチは2026年8月27日、「生成AIの業務定着の実態と課題に関する調査」の結果を発表しました。従業員1000人以上の企業で生成AIの活用・推進に携わる責任者・担当者319人を対象に実施したものです [1]。

実際に生成AIを使っている業務を複数回答で尋ねたところ、「情報収集・調べもの」が83.7%、「文書・資料の作成・編集」が81.8%、「データの集計・分析」が75.9%となり、幅広い業務での活用が進んでいることが分かりました [1]。一方で、生成AI活用が「最も定着している業務」を単一回答で尋ねると、「文書・資料の作成・編集」(39.0%)と「情報収集・調べもの」(23.9%)の2業務だけで6割超(62.9%)を占めています [1]。

その最も定着している業務における生成AIの利用形態を見ると、71.5%が業務システムとは別の画面で生成AIを利用していました。内訳は、社内向け専用ツールの利用が41.1%、外部サービス利用(コピー&ペーストで業務システムに反映)が30.4%で、業務システムの画面内でそのまま生成AIを使えているのは20.6%にとどまっています [1]。

生成AIを使う前と比べた所要時間の変化を尋ねた設問では、「減った」との回答が合計62.6%に達した一方、「増えた」「ほとんど変わらない」も合計33.9%に上りました。今後重視したい取り組みでは、「いつもの業務システムの中でAIを使えるようにする」が48.0%でトップとなっています [1]。

背景・解説

デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)とは、業務システムの操作画面上に案内やガイドを表示し、従業員がシステムを使いこなせるように支援する仕組みを指します。テックタッチはこの分野のベンダーであり、生成AIと業務システムの接続状況に着目した調査を実施しました [1]。

生成AIの導入自体は、チャット画面を開いて質問や指示を打ち込むだけで始められる手軽さから、多くの企業で広がってきました。しかし、その手軽さは同時に、生成AIが業務システムから独立した「別のツール」として使われ続ける状態を生みやすくもします。今回の調査で、生成AI活用が最も定着している業務でさえ71.5%が業務システムとは別画面での利用だったという結果は、この構造がなお主流であることを示しています [1]。

テックタッチは、生成AIを活用する上での課題として「使い方の理解や習熟度に差がある」(48.3%)が最多だったことについて、業務システムに生成AIを組み込んでいない場合、利用者自身がプロンプトを工夫し、出力を手作業で業務システムに合わせて加工する必要が生じ、この工程で個人差が広がりやすくなっていると分析しています [1]。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

情報収集や資料作成を主業務とする担当者ほど、いま感じている「思ったほど時短にならない」という実感は、能力の問題ではなく仕組みの問題です。例えば、従業員300人規模の商社で、営業企画部の担当者2人が日々の市場動向レポートを生成AIで下書きしているケースを考えると、ChatGPTなどの画面で文章を作った後、社内のレポート作成システムに手作業でコピー&ペーストし、フォーマットを整え直す工程が毎回発生します。この転記・整形の手間が積み重なると、生成AIが生み出した時間の一部を確実に食いつぶします。

今回の調査で「所要時間が減った」との回答が62.6%にとどまり、「増えた」「変わらない」が合計33.9%に上った背景には、こうした転記・整形コストが隠れている可能性が高いです。情報収集・資料作成という、生成AIが最も定着している業務でこの数字が出ているということは、他の業務ではさらに効率化の効果が薄い場面が多いと見るべきです。

管理職やIT部門の担当者は、まず自社で生成AIが最も使われている業務を1つ特定し、その業務システムへの組み込みを最優先で検討すべきです。例えば、経理部で月次資料の作成に生成AIを使っている担当者が3人いる会社なら、コピー&ペーストの回数や修正にかかる時間を1週間分だけ記録してみることで、組み込みの投資対効果を数字で示せます。逆に、専用ツールの導入や外部サービスの契約を増やすだけでは、48.3%が挙げた「習熟度の差」は縮まりません。回答者の48.0%が「いつもの業務システムの中でAIを使えるようにする」ことを今後の重点課題に挙げている点は、現場の実感として組み込みの必要性が広く共有されていることを示しています。

不確かな点・注意

今回の調査は従業員1000人以上の企業に限定されており、中小企業やスタートアップでも同じ傾向が当てはまるかは分かりません。調査期間も2026年7月28~29日の2日間と短く、季節要因や業界ごとの差については触れられていません [1]。

また、調査はテックタッチ自身が調査会社IDEATECHのサービス「リサピー」を利用して実施したもので、DAPベンダーという立場上、業務システムへの組み込みの重要性を強調する結論に至りやすい構造がある点には留意が必要です。所要時間の「減った」「増えた」の内訳や、具体的な時間の長さ(分・時間単位の数値)は公表されておらず、効率化の程度を正確に見積もることはできません [1]。

出典

  1. 生成AIを「別画面」で使い続けて本当によいのか? 300人調査で見えた活用定着の“壁”

AI Topica 編集部