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ベンダー任せのAIエージェント、7割が放棄される ガートナーが予測

ベンダーに任せきりで導入したAIエージェントは、数年後に社内で使われなくなる危険があります。米調査会社ガートナーが示した数字は、導入を急ぐ経営者や情シス担当者にとって見過ごせない警告です。

何が起きたか

米調査会社のガートナーは、ベンダーのFDE(フォワードデプロイドエンジニアあるいはフォワードデプロイドエンジニアリング)によって開発されたAIエージェントのうち70%が、2028年までに企業に使われず放棄されるとの予測を明らかにしました[1][2]。

ガートナーのシニアディレクターアナリスト、Mukul Saha氏は、多くのソフトウェアプロバイダーが「フォワードデプロイド」という言葉を、本来の意味とは異なり、製品の実装支援やプロフェッショナルサービス、ソリューションエンジニアリング、AIコンサルティングの呼び名として使っていると指摘しています[1][2]。

こうした状態は、ガートナーが定義するFDEモデルの3原則、すなわち「深い製品専門知識と迅速な適応、ベンダーの技術と運用環境の密接な統合を必要とする問題にのみFDEを活用すべき」「FDEを社内の業務専門家・技術者・エンドユーザーに浸透させ、知識を共有し作業に反映させる」「出口戦略を最初から明確にする」のいずれにも合致せず、技術的に失敗する前に構造的に失敗することが多くなると警告しています[1][2]。

さらにガートナーは、FDEの継続的な顧客ニーズをベンダーのコア製品に反映できる割合は、2028年までに全体の20%未満にとどまると予測しました。コンサルティングサービスがFDEの名前で販売される「FDE洗浄」のリスクが高まるとも指摘しています[1][2]。

背景・解説

FDE(フォワードデプロイドエンジニアあるいはフォワードデプロイドエンジニアリング)とは、ソフトウェア製品を提供するベンダーのエンジニアが顧客企業の現場に入り込み、顧客固有の課題に合わせてAIによるサービスやソフトウェアを共同開発する職種、あるいは開発モデルを指します[1][2]。

この手法は、既存のパッケージ製品だけでは対応しきれない個社固有の業務課題に対し、ベンダー側の技術者が現場に常駐して解決策を作り込む点に特徴があります。生成AIやAIエージェントの導入が広がる中、企業はベンダーの専門知識を借りて短期間で自社向けのエージェントを構築できるという期待から、この開発モデルを採用する動きが広がってきました。

ところがガートナーの指摘によれば、実態としては「FDE」という看板を掲げつつ、中身は通常の実装支援やコンサルティングにとどまっているケースが少なくありません。本来のFDEモデルが満たすべき3原則、つまり活用対象の絞り込み、社内への知識移転、出口戦略の明確化のいずれかが欠けていると、導入したエージェントは社内の業務プロセスに根付かず、ベンダーの担当者が離れた途端に使われなくなるという構造的な問題につながります[1][2]。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

ベンダーのFDEに任せきりでAIエージェントを導入した企業ほど、数年後にそのエージェントが使われなくなる確率が高くなります。例えば、従業員300人規模の製造業がベンダーのFDEに受発注業務のAIエージェント開発を全面委託し、社内の担当者が仕様や運用ノウハウを引き継がないまま契約期間を終えた場合、委託終了後に社内で誰も手を加えられなくなり、エージェントは放置される結果になりやすいです。ガートナーの予測する70%という数字は、こうした「作って終わり」のプロジェクトが珍しくないことを示しています。

発注側の企業が取るべき対応は明確です。FDEを依頼する際は、契約時点で社内の業務担当者や情シス担当者を最低1名以上プロジェクトに参加させ、開発過程で得られた知識を議事録やマニュアルに残すルールを設けるべきです。さらに、ベンダー側の担当者が撤退した後の運用体制、つまり出口戦略を契約書に明記しておくことも欠かせません。例えば、経理部門が5名程度の中堅企業が請求書処理のAIエージェントを外部委託で作る場合、経理担当者のうち1名を開発段階から関与させ、簡単な設定変更程度は自社で対応できる状態にしておけば、ベンダー撤退後も業務が止まる心配は小さくなります。

逆に、提案内容が「FDE」という名称だけで中身が通常のコンサルティングと変わらない場合、発注前にその旨を見極める必要があります。契約書に具体的な技術的成果物や知識移転の計画が盛り込まれていない提案は、名称にかかわらず慎重に検討すべきです。

不確かな点・注意

今回の予測はガートナーが示した見通しであり、2028年までの実際の普及率や放棄率が公表された数値と一致するとは限りません[1][2]。対象となる業界や企業規模、AIエージェントの用途ごとの内訳についても、出典には具体的な記載がありません。

また、「FDE洗浄」と呼ばれる状態がどの程度の規模で広がっているか、現時点での実例数などは明らかにされていません。どのベンダーの事例を基にこの予測が導き出されたのかについても、出典からは読み取れません。企業が自社の契約内容を確認する際は、ガートナーの定義する3原則に照らして個別に検証する姿勢が求められます[1][2]。

出典

  1. 「FDEが開発したAIエージェントの7割は使われず、単なるコンサルティングが販売される」 ガートナー予測
  2. FDE(フォワードデプロイドエンジニアリング)によって開発されたAIエージェントの7割は使われず、FDEの名前で単なるコンサルティングが販売されるようになる危険が高まるとガートナーが予測

AI Topica 編集部