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仕事への影響

議事録作成はAI任せ、福井県5,400人規模導入で見える自治体職員の働き方

会議の議事録づくりに毎週何時間も取られている自治体職員は少なくありません。福井県の事例は、その時間がAIによってどこまで圧縮できるかを示す具体的な数字を伴っています。職員体制が先細る自治体にとって、業務の優先順位を考え直すきっかけになります。

何が起きたか

株式会社PKSHA Infinityは、議事録作成ツール「YOMEL」の福井県への導入事例を公開しました。福井県では約5,400人の全職員が使える環境を整え、庁内会議のほか市町や事業者との打ち合わせなど幅広い場面でYOMELを活用しています。

導入から2ヵ月間の利用時間は合計約1,040時間にのぼり、議事録作成にかかる業務時間を全庁で推計約434時間削減できたといいます。会議後すぐに議事録ができあがるため、関係部署への共有も早くなっているとのことです。また部署ごとの利用状況を月単位で確認できるため、管理する側も活用の広がりを把握しやすくなっているといいます。

導入前には簡単なマニュアルを全職員に配布しただけで、使い方に関する問い合わせはなく利用が広がったとしています。庁内の利用者からは、会議中にメモを取る必要がなくなり議論に集中できるようになった、長時間の会議でも数分で文字起こしや要約が完了するようになったといった声が挙がっています。

背景・解説

議事録作成ツールとは、会議の録音データを文字に起こし、要点や決定事項をAIが自動で要約するソフトのことです。YOMELの場合、専用アプリで会議中にボタンを押すだけで録音でき、音声ファイルのアップロードといった手間も不要で、会議後すぐに約9割の議事録が完成するとされています。

福井県がこうしたツールを導入した背景には、自治体職員を取り巻く構造的な課題があります。総務省の自治体戦略2040構想研究会によれば、人口減少により2040年には自治体職員が現在の半数になるとの見通しが示されているといいます。少ない人数で業務を回すための効率化が急務となるなか、総務省の調査では自治体における生成AIの使い道として「議事録の要約」が2番目に多い用途となっているとのことです。

福井県でも従来は文字起こしツールと生成AIサービスを組み合わせて議事録を作成していましたが、手順が多く職員の負担が大きいことや、作成する人によって精度が異なることが課題だったといいます。こうした課題を解決するため、DX推進課が全庁導入できるツールの検討を始め、手軽さと精度の高さを決め手にYOMELの導入に至ったとしています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

議事録作成にかかる人手は、今後の自治体職員の配置計画から外して考えるべきです。福井県の事例では約5,400人規模の組織で2ヵ月に約434時間の削減効果が出ており、1人あたりに換算すればわずかでも、積み重なれば会議運営や住民対応に振り向けられる時間になります。例えば、職員30人規模の町役場で週に3件の会議があり、各議事録の作成に職員1人が1時間かけているとすれば、月間では約36時間が議事録作成に費やされている計算です。この時間がAIによって大幅に圧縮できるなら、浮いた時間を住民対応や政策立案に充てられます。

担当者を固定して議事録の質を属人化させてきた自治体ほど、この変化の恩恵は大きくなります。福井県の事例でも、作成する人によって議事録の精度が異なることが従来の課題として挙げられていました。AIが一定水準の要約を自動で出せるようになれば、議事録作成が得意な特定の職員に業務が集中する状況は解消に向かいます。

一方で、全庁展開した福井県でも「まだ活用しきれていない部署もある」という担当者の発言が示すように、導入すれば自動的に効果が出るわけではありません。管理職は、部署ごとの利用状況を月単位で確認し、使っていない部署に個別に声をかける運用を組み込むべきです。削減できた時間をどの業務に再配分するかを決めておかなければ、せっかく生まれた余力が宙に浮いたままになります。

不確かな点・注意

今回公開された約434時間という削減時間は、PKSHA Infinity側の推計値であり、算出方法の詳細は示されていません。利用時間合計約1,040時間との関係や、削減の算出根拠について独自に確認できる情報は出典にありません。

また、福井県での効果は約5,400人規模という大規模な組織での結果であり、職員数の少ない町村でも同程度の削減効果が出るかどうかは示されていません。利用者の声として挙がった効果も「一部」の声として紹介されたものであり、全職員の評価を代表するものかどうかは不明です。福井県の担当者が述べた「活用しきれていない部署もある」という点についても、具体的な部署数や利用率の数字は公開されていません。

出典

  1. 【導入事例】福井県が議事録AI「YOMEL」を約5,400人規模で全庁展開。導入2ヵ月で400時間以上の議事録作成時間削減を実現

AI Topica 編集部