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富士ソフト、設計から設備運用まで一気通貫支援 「スマート工場オファリング」を体系化

人手不足と技能継承の遅れに悩む製造現場は多く、設計・製造・設備・データがそれぞれ別のベンダーやシステムに分かれていることが改善の壁になっています。この状況を踏まえ、富士ソフトが一気通貫の支援策を体系化した動きは、発注先の見直しや投資判断を検討する製造業の経営層に関わる話です。

何が起きたか

富士ソフトは、設計・製造・設備運用・データ活用を一気通貫で支援する「スマート工場オファリング」を体系化し、展開すると発表しました。人手不足や技能継承、設計・製造・設備・データの分断といった製造業の課題に対し、AI・IT・OTを組み合わせて対応するといいます。

体系化した支援は4つに分かれます。

①設計・生産準備のデジタル化:企画から設計、生産準備までの情報をデータでつなぎ、開発期間の短縮や意思決定の迅速化を図ります。 ②製造実行・現場管理の高度化:生産ラインやロボットの動作を仮想空間で検証し、実機導入前の試運転や調整を効率化します。 ③設備・製造工程の自動化:既存設備を全面更新せず、センサーや制御機器を追加するレトロフィットにも対応し、稼働ロスの可視化を支援します。 ④データ統合・活用:設計から製造、品質、保全まで分散するデータをつなぎ、故障予測や品質改善に活用します。

CAE・MBSE・PLMに強みを持つサイバネットシステムと、組込・制御からロボットSI、MES、データ基盤まで幅広い技術を持つ富士ソフトが連携し、各現場で培った成功パターンを型として再現できる形で提供するとしています。あわせて、ロボットメーカーや商社と連携したフィジカルAIのスタートパッケージを2026年10月13日から取り扱うとしています。

背景・解説

定義から確認します。フィジカルAIとは、現場の状況を理解して最適な動作を判断し、ロボットや設備を自律的に制御する技術を指す言葉として、今回の発表で使われています。OTは工場の生産設備や制御システムを動かす技術全般を指し、業務システムを扱うITと対で語られることが多い分野です。

背景には、日本の製造業が抱える構造的な課題があります。発表では、経済産業省「2026年版ものづくり白書」を引用し、製造業の就業者数が2002年度の1,202万人から2025年度には1,033万人へと14.1%減少したと紹介しています。さらに、設計・製造・設備・データといった各工程間でデータ連携ができている企業は5%弱にとどまるとも指摘しています。人手が減る一方でデータの分断が残る状況が、工場単体の改善だけでは企業全体の競争力向上につながりにくい要因になっているといいます。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

設計・製造・設備・データ担当を別々の会社に発注してきた工場ほど、今回のオファリングで社内の調整負担が減ります。設計を専門会社に、生産ラインの構築を別のSIerに、設備保守をまた別の業者に、データ基盤の整備を系列会社に、それぞれ個別発注してきた工場なら、この4分野の相談窓口を1社に集約できます。

例えば、従業員300人規模の金属加工工場で、設計図面がCADデータのまま製造現場に伝わらず、ベテラン作業者の勘に頼って加工条件を決めている会社を想定します。こうした会社が④のデータ統合・活用を導入すれば、設計データと製造実績、加工条件を1つのデータとして残せます。同じ会社が③の設備・製造工程の自動化も併せて使えば、既存の加工機を丸ごと入れ替えずに、センサーを追加するだけで稼働状況を可視化する対応にも着手できます。技能継承を担うベテラン社員が数人しかいない現場ほど、データを型として残す仕組みの効果は大きくなります。

フィジカルAIのスタートパッケージは、2026年10月13日からロボットに加えてAI、ソフトウェア、ハードウェアを一体で提供するとされています。ロボット単体を導入し、そこにAIや制御ソフトを個別に組み合わせるより、検討にかかる社内調整の工程は短くなります。ただし、パッケージを導入しただけで生産性が上がるわけではなく、現場の運用設計や作業者への教育は別途必要です。

不確かな点・注意

発表内容には、具体的な料金や導入期間、対応可能な工場の規模といった条件は示されていません。フィジカルAIのスタートパッケージについても、対象となるロボットメーカーや商社の名称、価格帯は公表されていません。就業者数14.1%減少やデータ連携企業5%弱という数字は経済産業省「2026年版ものづくり白書」からの引用であり、富士ソフト自身の調査結果ではない点に注意が必要です。実際の導入事例数や効果の実測値についても、今回の発表では言及されていません。

出典

  1. 富士ソフトグループ、「スマート工場オファリング」を体系化し本格展開 設計・製造・設備運用・データ活用をAI×IT×OTでつなぎフィジカルAIへ

AI Topica 編集部