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仕事への影響

CIO・情シス部門に迫る「AI成果の証明責任」、Dataiku調査が映す実態

AIエージェントを導入しただけでは評価されない時期に入りつつあります。これから問われるのは、CIOや情シス部門が「成果を数字で説明できるかどうか」です。

何が起きたか

Dataiku Japanは10月14日、AIエージェントプラットフォーム「Dataiku Cobuild」の機能拡張などを発表しました。企業がAIによるビジネス成果を獲得する難しさを同社は課題として挙げ、新機能はその解決を支援する位置づけだといいます。

説明会でDataikuのプレジデント兼最高収益責任者(CRO)を務めるMaxwell Long氏は、多くの企業がAIエージェントを業務で本格的に稼働させている一方、ビジネスの成果を把握できていないと指摘しました。

同社が調査会社The Harris Pollと共同で7月に日本を含む8カ国のCIO685人を対象に行った調査では、回答者の76%が「2027年末までにAIで測定可能なビジネス成果を出せなければ自身が解任される」という危機感を抱いていることが分かりました。また72%は、自社で稼働中のAIエージェントがビジネス価値を生んでいるかどうかを確認できていない状態だったといいます。

これを受けDataikuは、AIエージェントの稼働状況やコスト、リスクを可視化・監視する「Dataiku Agent Management」の一般提供を10月に開始しました。自社製エージェントに加え、SnowflakeやDatabricks、Salesforceなど6種類のサードパーティー製エージェント基盤にも対応するといいます。

背景・解説

AIエージェントとは、人があらかじめ設計した業務範囲とルールの中で、データ分析や判断、処理を自律的に実行するAIの仕組みを指します。チャットボットのように指示に応じて答えるだけでなく、業務プロセスの一部を人に代わって動かす点が特徴です。

Long氏によれば、ビジネス価値を生み出すにはAIを動かすだけでは足りず、現場の知見をAIに実装し、データやモデル、ルールを整えたうえで業務プロセスに適用し、人がオーケストレーションとガバナンスを利かせる必要があるといいます。

Dataiku Japanの佐藤豊氏は、日本企業では長年、業務現場が独自に導入する「シャドーIT」や「野良RPA」「野良AI」が広がりやすく、効果を急ぐ現場とガバナンスを担うIT部門との間に溝が存在し続けてきたと説明しました。AIエージェントの普及で、この溝の解消が改めて課題になっているという見立てです。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

CIOや情シス部門は今後、AIエージェントを「動かす係」から「成果を数字で説明する係」へと役割が重くなります。調査では72%が自社エージェントの価値創出を確認できておらず、76%が解任の危機感を抱いているという結果は、導入の可否よりも説明責任の有無が評価基準になりつつある実態を示しています。

例えば、従業員300人規模の製造業で情シス担当が2人しかいない会社なら、現場各部署が独自に契約したAIエージェントが5つも10も並行稼働していても、誰がどのツールをどんな目的で使い、月にいくらコストがかかっているかを即答できない状態に陥りやすくなります。この状態のまま取締役会でROIを問われれば、担当者は答えに窮することになります。

必要になるのは、稼働中のAIエージェントを一覧できる台帳を作り、利用部門・目的・月間コスト・成果指標の4項目だけでも最低限記録することです。従業員50人規模の経理代行会社であれば、経理部長が月1回、稼働中のAIエージェントの件数とコスト削減額を一覧表にまとめるだけでも、説明責任の半分は果たせます。逆に、現場任せのまま利用部門数だけが増えていく会社は、来期の予算査定でAI投資そのものを止められるリスクを抱えます。

情シス部門に求められているのは高度な技術知識ではなく、利用状況を可視化し続ける運用の習慣です。中小企業であれば専用ツールを導入せず、表計算ソフトでの台帳管理でも十分です。現場とIT部門が同じ数字を見て会話できる状態を作ることが、評価を守る一番の近道になります。

不確かな点・注意

今回の調査はDataikuが自社製品の提供に合わせて発表した内容で、回答企業の業種や国別の内訳、日本の回答者数は記事からは分かりません。「2027年末までに」という期限の根拠や、解任の主体(取締役会か株主かなど)も明示されていません。

Vポイントマーケティングでの「新規プロジェクト立ち上げ件数が3カ月で3倍」という事例は1社の実績であり、他社に同程度の効果が及ぶかどうかは不明です。Dataiku Agent Managementの実際の導入効果についても、現時点では公開情報が限られています。

出典

  1. Dataiku、AIエージェント管理基盤の一般提供を開始--ビジネス成果獲得に課題も

AI Topica 編集部