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日本CTO協会、AI活用の定着度を測る無償診断「AX Criteria」公開

AIツールを入れても、業務の進め方が変わらなければ組織はまだ動いていません。自社のAI活用がどこまで進んでいるかを無償で確かめられる診断が公開されました。

何が起きたか

日本CTO協会が2026年10月5日、組織のAI活用の現在地を自己診断できる無償のガイドライン「AX Criteria」を公開しました。ログイン不要で、誰でも利用できます。

診断は「Strategy(経営戦略)」「Staff(人材)」「System(技術基盤)」「Symbiosis(人とAIの協働)」「Security(ガバナンス)」の5つのカテゴリに分かれ、各カテゴリに10項目、合計50項目を0から4の5段階で評価する仕組みです。スコアは「0=取り組みがない」から「4=制度・文化として定着し、記録と改善を続けている」までの共通の尺度で定義されており、結果は5カテゴリの平均値としてレーダーチャートで示されます。

診断に伴走するキャラクター「AXIS」も用意されており、公開に先立って協会の会員を対象とした先行トライアルも実施されたといいます。公開されたAX CriteriaはCC BY-SA 4.0のライセンスで提供されています。

背景・解説

日本CTO協会は2019年から、企業のデジタル化とソフトウェア活用の状況を測る「DX Criteria」を監修してきた団体です。2025年6月には4年ぶりとなる更新を行いました。DX Criteriaが主にソフトウェアエンジニアリング組織を対象としてきたのに対し、今回のAX Criteriaは経営戦略やガバナンスを含む全社の層まで対象を広げています。

出典では、AIの利用が日常の業務に入り始めた一方で、「導入したAIの数」や「社員の利用率」といった指標だけでは、組織的な取り組みの度合いや生産性の向上を測れないと指摘されています。経営層は「導入は済んでいる」と捉え、現場は「仕事の進め方は変わっていない」と感じる、両者の認識のズレが生じやすいという課題感が、AX Criteria策定の出発点になりました。協会は2026年7月、広木大地氏をリーダーとするAX Criteria ワーキンググループを新設し、策定を進めてきたといいます。広木氏は、AXが問うのは技術を導入したかどうか以上に、変わり続ける環境に組織として適応できているかだとコメントしています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

AX Criteriaは、点数の高さを競うための道具ではなく、経営層と現場の認識をすり合わせるための対話の材料として使うべきです。50項目の診断を経営側と現場側がそれぞれ別々に答え、スコアの差が大きい項目をそのまま放置せず、話し合いの議題に挙げる運用が効果を生みます。

例えば、従業員80人ほどの製造業で情報システム部門長が1人しかいない会社なら、経営陣と現場担当者がそれぞれ30分程度で50項目に回答し、レーダーチャートを突き合わせるだけで、「AIツールは導入したが運用ルールがない」といった具体的な課題が浮かび上がります。5カテゴリそれぞれで平均スコアが1点違うだけでも、どの10項目が足を引っ張っているかを具体的に特定できる点が実務上の使いどころです。無償で使える診断であるため、外部コンサルタントに依頼する前の一次診断として使う価値は十分にあります。

スコアそのものよりも、「なぜこの点数になったのか」を具体的な業務に当てはめて話し合う工程こそが本質です。5段階評価は粗い物差しですが、50項目という数の多さが、議論すべき論点を漏れなく洗い出す役割を果たします。経営会議の議題として一度取り上げてみる価値はあります。

不確かな点・注意

AX Criteriaは絶対的な基準ではなく、技術や事業環境の変化に合わせて今後も更新される前提で公開されています。診断結果は満点を目指す一律の目標として示されたものではなく、組織ごとに次に取り組むべき内容は異なります。

また、公開前に実施された先行トライアルの参加企業数や業種の詳細、診断結果の分布といった定量的な情報は出典に示されていません。診断を実際に導入した企業の効果検証についても、現時点では公表されていない点に注意が必要です。項目や解説の更新は、診断画面のフィードバック欄に寄せられた利用者の声をもとに行われるとされていますが、更新の頻度や反映の基準までは明らかにされていません。

出典

  1. 日本CTO協会、 #デジタルの日 に組織のAI変革の現在地を測るガイドライン「AX Criteria」を公開

AI Topica 編集部