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AWS、データセンター反発に10億ドル超の支援策とNDA新規撤廃を発表
米国で広がるAIデータセンター建設反対の声に対し、AWSが行動指針と大型投資で応じました。クラウドを使う国内企業や、誘致地域に関わる取引先にとっても、今回の対応は今後の条件変化を読む材料になります。
何が起きたか
米Amazon Web Services(AWS)のCEOマット・ガーマン氏は10月2日(現地時間)、データセンター建設を巡る米国内の批判に反論する長文の公式ブログを公開しました[1]。同時に、データセンター運営の行動指針「Amazon Data Center Commitment」と、立地地域向けの新たな投資プログラム「Built Together」も発表しています[1]。
背景には、米国内でのデータセンター建設への反発の強まりがあります。米Gallupが5月に発表した調査では、居住地域でのAIデータセンター建設について71%が反対と回答しました[1]。全米では100件を超える建設一時停止(モラトリアム)措置が検討されているといいます[1][4]。
ガーマン氏は、水資源や電気料金を巡る批判の多くを「迷信」だと位置づけ、具体的な数字で反論しました。水については、米国のゴルフ場だけでAmazonの全データセンターの約200倍の水を使っており、Amazonのデータセンター平均使用量は1日1万3000ガロン(約4万9000リットル)未満で、米国の42世帯分に相当すると説明しています[1]。
行動指針では、地域住民の電気料金を引き上げないよう配慮したインフラ整備費用の負担、事業で協力する政府機関との秘密保持契約(NDA)を今後は結ばない方針、エネルギー・水の使用量を毎年公表することなどを盛り込みました[1][4]。
投資プログラム「Built Together」では、今後5年間で10億ドル以上を米国内で投じる計画です[1]。資金の使途は地域主導で決定し、コミュニティカレッジでの資格取得支援、学校や住宅の省エネ改修助成、地域の優先課題への資金拠出などに充てるとしています[1]。
背景・解説
データセンターの「モラトリアム」とは、新規の建設や許認可の発行を一定期間停止する措置を指します。環境団体Stand.Earthや環境活動家エリン・ブロコビッチ氏らは、データセンター建設を巡る許認可プロセスの不透明さをかねて問題視してきました[2][4]。具体的には、許可が確定した後に計画が公表される、開発事業者が住民からの問い合わせに応じない、住民に知らされる前に地元当局がNDAに署名している、といったパターンが繰り返されてきたと指摘されています[4]。
こうした経緯から、米民主党の議員ジェイミー・ラスキン氏はテック各社に対しNDAの実態を問う調査を行っており、AWSの渉外・法務担当幹部デービッド・ザポルスキー氏はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じ、業界が秘密主義の歴史から抜け出せていないと認めていました[3]。ニューヨーク州はすでに大規模データセンターの許可について1年間のモラトリアムを発表しています[4]。
一方でガーマン氏は、現在のデジタルインフラ整備を1956年に始まった州間高速道路網の建設になぞらえ、整備費用を民間企業が負担している点を強調しました[1]。AIで先行する国が経済・安全保障で最大の恩恵を受けるとして、建設停止が実現すれば米国は競争に自ら負けることになると警告し、国内で意図的に誤情報を広める動きがあるとの報道にも言及しています[1]。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
データセンター誘致地域に関わる企業ほど、AWSの今回の発表を取引先選定や交渉材料の一つとして見ておくべきです。例えば、地方自治体からデータセンター関連の建設・設備工事を受注している中堅ゼネコンの事業責任者なら、発注元の情報開示姿勢やNDAの扱いが今後の入札条件に反映される動きを踏まえて、契約条件を確認する価値があります。AWSが秘密保持契約を今後結ばない方針を示したことで、同様の取引先選定でも透明性を重視する流れが強まります。
クラウドサービスを利用する国内企業にとっても無関係ではありません。例えば、従業員300人規模の製造業で基幹システムをAWSのリージョン上で運用している情報システム部門なら、地域社会との関係悪化によるサービス計画の見直しリスクを年1回程度点検する必要があります。今回発表された行動指針と5年で10億ドル超という投資額を把握しておけば、取引先への説明資料としては十分です。
社内のサステナビリティ報告や調達方針を作る担当者にとっては、数字の示し方が参考になります。Amazonは水の使用量を1日あたりの量と世帯数換算で示し、投資額を5年間で10億ドル超と明示しました。こうした定量的な開示の仕方は、自社が地域や取引先に説明する際のひな形になります。
不確かな点・注意
Stand.Earthなどの環境団体は、Amazonの発表を企業の宣伝活動にすぎないと批判しており、今回の投資プログラムが実際の地域合意形成にどこまで寄与するかは出典からは判断できません[2]。特に、専門家が米国最大級の汚染源になると見込む火力発電所計画についてAmazonの行動指針がほとんど言及していない点は、環境団体から問題視されています[2]。
NDA廃止の方針がいつから適用されるのか、過去に締結済みの契約がどう扱われるのかは明らかにされていません。今回の投資プログラムと行動指針は米国内が対象で、日本を含む他地域への適用についての記載はありません。電気料金や水使用量を巡るAmazonの説明は独立した検証機関によるデータではなく、Amazon自身が示した数字である点にも留意が必要です[4]。