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AIエージェント3体以上は「無駄遣い」 OpenAI開発者が警鐘

複数のAIエージェントを同時に動かせば作業が速く終わると考えている担当者は、少し立ち止まった方がよさそうです。OpenAIの開発者が、並列数を増やしても品質は上がらず、コストだけが膨らむ実例を挙げて警鐘を鳴らしました。

何が起きたか

OpenAIでコーディング支援ツール「Codex」の開発に携わるエリック・プロヴァンシェ氏が、AIエージェントを大量に並列稼働させる運用手法について、X(旧Twitter)上で注意を呼びかけました。

同氏の主張は明確です。2体を超える並列サブエージェントを動かした場合、ほとんどのケースで品質が向上することはなく、トークン(AIの処理量に応じた課金の単位)だけが浪費されるといいます。エージェント同士が互いを信用しないため、結果的に「お互いの宿題を二重にチェックし合う」状態に陥ってしまうとのことです。

同氏はこの現象を「調整税(コーディネーション・タックス)」と呼んでいます。実際に話題となった事例として、1,393体の「Fable」エージェントを使い、たった1つのPythonファイルの改修に2万ドルものトークン費用をかけたプロジェクトが紹介されました。これに対し同氏は、単体の「Astra」エージェントであれば「はるかに少ない費用」で同じ作業ができたはずだとコメントしています。エージェントの大群(スウォーム)は時間の節約にはなるかもしれないものの、トークンの消費という面では「罠」だと表現しました。

背景・解説

ここで言う「AIエージェント」とは、指示を受けて自律的にタスクを分解・実行するAIプログラムのことです。近年は1つのタスクを複数のエージェントに分担させ、並列で処理を進める「マルチエージェント」運用が広がりつつあります。理論上は、人間のチームが手分けして作業するように、AIも分業すれば効率が上がると期待されてきました。

しかし今回の指摘は、その前提に疑問を投げかけるものです。エージェント同士は互いの作業内容を完全には信頼できないため、他のエージェントが出した結果を検証し直す「二重チェック」が発生します。さらに、システムプロンプト(AIへの指示文)が複数のサブエージェントでそれぞれ実行され直したり、サブエージェントに必要な文脈情報が渡っていなかったりすることで、同じ作業が重複して発生する構造的な問題があるといいます。

プロヴァンシェ氏は、こうした無駄を減らす方法として、常に進捗状況をポーリング(定期的に問い合わせ)するのではなく、作業を別スレッドに任せて完了時のみ主エージェントに通知させる方式を提案しています。ただし同氏自身も、OpenAI側としてまだより良い解決策を提供できていない現状を認めています。

仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方

社内でAIエージェントを複数同時に動かして作業を任せている会社ほど、この指摘は実務コストに直結します。例えば、従業員50人規模のシステム開発会社で、情シス担当者がコード修正を5体のAIエージェントに分担させて並列実行させている場合、担当者はまず現状のトークン使用量と成果物の品質を照らし合わせる作業をすべきです。今回紹介された事例では、1,393体のエージェントを使った改修作業に2万ドルもの費用がかかっており、単体のエージェントであればその一部の費用で済んだとされています。

並列数を増やせば増やすほど処理が速く終わるという発想は、少なくともトークン課金という面では見直す必要があります。担当者は、まず並列稼働させるエージェントの数を2体以内に絞り、それでも処理が遅い場合にのみ増やす方針を採るべきです。また、進捗確認のために頻繁にエージェント同士へ問い合わせをさせる設定になっていないか、システムのログを月に1回は確認する運用も有効になります。

経理担当が月次のクラウド利用費を確認する際、AIエージェント関連のトークン費用だけが急増している月があれば、並列数の設定を疑ってみる価値があります。コスト削減の観点では、まず並列数の上限を見直すことが最も手っ取り早い対策です。

不確かな点・注意

今回の指摘は、OpenAIのCodex開発者個人がX上で発信した内容であり、OpenAIとしての公式な方針や研究結果として発表されたものではありません。2万ドルの費用がかかった事例についても、具体的な企業名やプロジェクトの詳細、使用されたモデルの種類までは明らかになっていません。

また、「2体を超えると無駄」という基準がすべてのタスクや業種に一律で当てはまるかどうかも、出典からは判断できません。単純な繰り返し作業と複雑な設計作業とでは、最適な並列数が異なる可能性も否定できません。OpenAI自身も、この種の非効率を解消する仕組みを今後整備する必要があると認めている段階であり、現時点で決定的な解決策は示されていません。エージェント運用を検討する担当者は、自社の作業内容に応じて小規模な検証から始める姿勢が求められます。

出典

  1. AI agent swarms are a massive waste of tokens with zero quality gain, says OpenAI Codex developer

AI Topica 編集部