仕事への影響
ChatGPT新機能、非エンジニアも社内データを分析・可視化
社内データの分析やダッシュボード作成は専門知識が要る作業でした。OpenAIの新機能はその前提を変える内容で、経営層や非エンジニアの担当者にとって現場業務の分担そのものに関わる話です。
何が起きたか
米OpenAIは2026年9月10日(現地時間)、ChatGPT Work向けの新機能「Data agent」を発表しました[1]。チャットで指示するだけで社内データに接続し、分析やインタラクティブなダッシュボード作成を行える機能です[1]。クエリを書いたり、新しい分析ツールの使い方を覚えたりする必要はないといいます[1]。
接続できるデータソースには、Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake、Databricksなどが含まれます[1]。ダッシュボードはPower BIやTableau、Oracle BIなど既存のBIツール上にも作成できます[1]。分析の際には、企業ごとのビジネス用語や指標の定義、独自の計算式を読み込んで解釈に反映します[1]。
Data agentは次に取るべき手順や関わるべき人物も提案し、分析結果はSlackやメールで共有されます[1]。ユーザーが承認した作業は、接続したツールを通じて実行されます[1]。導入の可否やデータソース側の連携設定は、管理者が決める仕組みです[1]。OpenAI社内のほか、NTTデータなどが参加するαプログラムでも活用が進み、非エンジニアが自然言語でダッシュボードを作成・更新しているといいます[1]。
背景・解説
社内のデータ分析やダッシュボード作成は、これまでSQLなどのクエリ言語やBIツールの操作方法を身につけた担当者に頼る場面が多くありました。分析用のツールが増えるほど、担当者は各ツールの使い方を個別に覚える必要が生じ、依頼から結果が出るまでに時間がかかる場面もありました。
Data agentは、Amazon RedshiftやSnowflake、Databricksなど複数のデータ基盤と、Power BIやTableauなど複数のBIツールを横断してつなぐ点が特徴です[1]。企業ごとの用語定義や計算式をdbtやDatabricks Genie Ontologyなどから読み込む仕組みも備え、単なるデータ抽出にとどまらず、その会社の指標の意味に沿った解釈を行います[1]。ChatGPT Workのプラグインとして提供され、管理者が有効化の可否を決める運用も、社内システムとしての位置づけを意識した設計になっています[1]。
仕事や業務への影響 — AI Topicaの見方
社内に専属のデータアナリストがいない中小企業ほど、Data agentが埋める余地は大きくなります。例えば、従業員80人ほどの卸売業で、経理と兼任でSnowflakeのデータを月次集計している担当者が1人しかいない会社を想定すると、これまでSQLを書ける外部の担当者に依頼していた集計作業の一部を、担当者自身がチャットの指示だけで完結できます。
依頼から結果を受け取るまでのやり取りの回数が減る効果は、分析件数が多い部署ほど大きく出ます。月に20件前後の分析依頼を情報システム部門が抱えている企業では、依頼の一部を現場の担当者自身が完結できれば、情報システム部門の対応件数は目に見えて減ります。
一方で、経理担当が1人だけの小規模な会社では、そもそも接続対象となるSnowflakeやDatabricksのような基盤を導入していないケースが多く、この機能単体を使う場面はほとんどありません。Data agentの効果は、複数のデータ基盤とBIツールをすでに使い分けている中堅企業以上で発揮されやすい機能です。
管理者による有効化の判断が前提になっている点も実務上は重要です[1]。データソースへの接続を許可する範囲や、誰が分析結果を承認できるかといった社内ルールを先に整理しておかないと、導入しても現場が使いこなせない状態になります。分析結果を承認して実行に移す手順が組み込まれているため、承認フローの設計を怠ると、かえって確認作業が増えることもあります[1]。
不確かな点・注意
Data agentの提供時期や日本語での利用可否、料金体系については、この発表の中で明示されていません[1]。ChatGPT Workという契約形態を前提にした機能のため、対象となる契約プランの範囲も現時点では分かりません。
分析結果の精度や、企業ごとの用語定義をどこまで正確に解釈できるかは、実際に運用してみないと分からない部分です。dbtやDatabricks Genie Ontologyなどの定義データが整備されていない企業では、想定した挙動と異なる場合も考えられます。
社外のデータ基盤にチャットの指示内容がどのように渡り、どこまでログが残るかといったセキュリティ面の詳細も、この記事の時点では公開されていません[1]。導入を検討する場合は、情報システム部門やセキュリティ担当者を交えて確認する手順が必要です。